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静謐なる柩。
捏造満載コードギアスの自己満足二次創作サイト。現在休止中。復活は未定。
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教室、はずれ。
クラブハウス、はずれ。
食堂、はずれ。
中庭、はずれ。
グラウンド?いや、それはない。
それじゃあ図書室、はずれ。

それじゃあ、今度は。

ロロはゆっくりと、音を立てないように気をつけながら階段を上り、そっと入り口から様子を伺う。

いた。

鐘楼塔の最上階、ぼんやりと風景を眺めているルルーシュ――『兄さん』。
ロロは表情を緩め、そして背後から勢いよく飛びついた。

「兄さん!」

ルルーシュは驚いたようで少しよろめいたが、そのまま戸惑ったようにロロへと視線を向けた。

「わ、どうしたんだロロ?急に抱きついたりなんかして」
「えへへ、なんとなく。…ダメ、だった?」
「そんなことはないさ。ただ少し驚いただけだ。それに慣れてるし」
「……慣れてる?」

ロロは思わず眉を顰めた。

おかしい。確か『ルルーシュ・ランペルージ』の妹『ナナリー・ランペルージ』は目と足が不自由なため、こういった行動には出れないはず。
では生徒会。いやいや、流石に抱きついたりするような光景は見られない。
一番疑わしいのはミレイだが、シャーリーのような女の子にはよくセクハラじゃないかと思うような行為をしてるところは見たことがあるが、異性に対してそういうことを行うことはほぼ無いに等しい。貴族の令嬢だからか、そのあたりはきっちり意識しているようだし。
ロロ自身だって抱きつくなどのスキンシップを積極的に取り始めたのは、ルルーシュが自分に未来をくれると約束してくれてからだ。

「…もしかして、枢木スザク?」
「スザク?…ああ、そういえば、あいつもよく抱きついてくるな」

今もしそんなことされたら反射的に手を叩き落してしまいそうだし、気をつけないとな。
心なしかうんざりした様子で呟くルルーシュに、ロロは首を傾げた。

てっきり奴かと思ったのだけれど、違うらしい。いつも未練たらたらの様子でロロ達『兄弟』の様子を見ているから、そうだと思ったのに。
しかしそこで、ふとロロは気がついた。今目の前の兄は聞き捨てならないことを言わなかったか。

「…『も』?他に抱きついてくる人なんているの?――あ、もしかして」
「多分お前の予想は外れていると思うぞロロ」
「なんで聞かないうちから断言できるのさ」

ムッとした様子を隠そうともせずにいれば、ルルーシュは苦笑して優しく頭を撫でてくれる。
ロロは表面上「子ども扱いしないでよ」と照れてみせるが、内心ではニヤリと笑ってみたり。

まがりなりにも監視役とはいえ、一年間傍にいたのだ。
『ルルーシュ』にはこういう庇護欲をそそる行動が有効で、そうすればロロに優しくしてくれるのだと知っていた。

そんな思惑があるなんて知らないルルーシュは、苦笑したまま続けた。

「お前の知らない人だから、だよ」
「なにそれ。知ってるよ、僕兄さんの監視役だったんだよ?どうせ『魔女』でしょ?」
「ほらやっぱり。残念、間違いだ」
「え」

ぱちぱちと目を瞬く。
やっぱりおかしい。だって、『ルルーシュ』については機密情報局に全ての情報が入ってきていたはずなのに。
唯一例外を述べるならばギアスについてだが、それについてもロロもギアス・ユーザーなので知らされている。
ブリタニア側に情報が入らない、その場所といえば。

「……黒の騎士団?」

いやでも、騎士団はゼロの正体知らないんじゃ。
もしかしてあの仮面被った状態に抱きつく輩がいるのか。騎士団自体が元々不穏分子として危ないが、別の意味で危ない組織じゃないかそれ。

困惑しつつ、おそるおそるルルーシュに問いかける。

「…『ゼロ』に抱きつこうとするような人がいるの?」
「いや流石にそれは………いた、な。神楽耶がそうだな、そういえば」

実はディートハルトとかいう変態もそんなことを企んでいるが、そこはカレンやC.C.達が頑張って撃退してるからルルーシュは知らなかった。
知らないって幸せ!

まあそんなことはおいといて。

「カグヤ…ああ、イレブンのお姫様だったっけ?ブラックリベリオンの時にいたよね。ちょっと映像に映ってた」
「そうだ。本人は俺を旦那だと主張しているな。…まあ契約もあるし、結婚なんてするつもりはないが」
「そうだよね…」

『僕の』兄さんだもんね!と続く言葉は言わなかった。うん、伏せた。
案の定ルルーシュはロロの言葉の裏には気付かなかったようだ。
それどころかちょっと悲しそうに「そうか、お前も契約したんだったな…」と呟き、ぎゅっと抱きしめてくれた。役得!

内心ロロがガッツポーズを決めているとは露知らず。
ルルーシュはよしよしと心ゆくまでロロの髪を撫でていた。だってふわふわ。
ルルーシュが毎日頑張って乾かしてやってる甲斐あって、ふわふわなのだ!
ナナリーの髪もふわふわだったが、咲世子さんが乾かしていたのでちょっと今のロロの髪には達成感だ。俺頑張った!

ルルーシュの方からなんか幸せオーラが漂ってくる。
この人ホント世話好きだなあ、ていうか今のほわほわした表情可愛いなあなんて思いつつ、ロロはルルーシュからのスキンシップを甘受していた。
こうしてべたべたに甘やかしてもらうのは『特別』なのだと目に見えて分かるから嫌いじゃない。むしろ大好きだ。

学園の生徒達からよく羨まれるが、特に最近転校してきたナイトオブセブンがよく向けてくる嫉妬の目が心地いい。
一応は『任務』だからなのか、文句を言うに言えずギリギリしている様子は滑稽で嫌いじゃない。むしろ面白い。
兄さんを裏切ったりするからだ!いい気味!

さてさて、もちろんそんなことを腕の中の弟が考えてるなんて思いもしないルルーシュ。しかしここでうっかり爆弾を投下した。

「結構人の体温って落ち着くだろう?俺もよく抱きつかれたり…その、抱きしめてもらってたりしてたから。なんか、安心するというか」

ぴき、と空気が凍る音がした。

「………誰に?」
「ん?」
「誰に抱きしめてもらったの?僕知りたいなあ兄さん」
「え?ああ、え、なんか笑顔が怖いんだが。どうしたんだロロ」
「いいから答えて。誰に?」

ちょっと行ってサクっと殺ってくるからさ☆とは言わない。言わないけど。でもその羨ましい奴絶対 コ ロ ス !

そして笑顔の圧力に負けたのか、ルルーシュは相手の名前を教えてくれた。
そう、その相手の名前は。

 


「―――『省吾さん』とやらは何処のどいつですか」

今の状況を簡潔に述べよ。
気がついたら騎士団の潜水艦の中に見知らぬブリタニア人らしき少年がいました。おわり。

「…ってオイっ!?何時の間にコイツこんなとこまで入ってきてんだよ!?」
「まさか、場所がバレたのか…!?」
「く、すぐに拘束して…!」
「いいから早く『省吾さん』を出してくれませんか。出してくれたらおとなしく帰りますから」

動き出した団員たちにも、少年は笑顔のまま全く動じない。

「てめ、馬鹿にしてんじゃねえぞっ!」
「ばっ、玉城!」

その笑みをどう受け取ったのか――少なくともいい意味ではないだろう――短気な玉城が少年に殴りかかる。
線の細い少年だ。それに玉城も喧嘩っ早い性格もあって、それなりに力は強い。ああ、吹っ飛ばされる、と誰もが思った。

だが、ふと気がつくと。

「なっ!?」
「いつの間に…」

逆に玉城の首筋にひたりとナイフが当てられていた。
玉城は今の状況が信じられないのと、ナイフの冷たい感触に硬直してしまっている。顔色は良くない。

「さっさと『省吾さん』を出してください。この人殺しますよ?」
「ひぃっ!?ちょ、助け…っ」

笑顔のまま殺人予告をする少年に玉城はもはや半泣きで周りのメンバーに助けを求めるものの、誰もが動けない。てか『省吾さん』って。『省吾さん』ってまさか。

膠着した状況の中、グッドタイミングというべきか、バッドタイミングというべきか。
ちょうど少しラクシャータと話し合っていた藤堂と、それに同伴していた四聖剣が部屋に入ってきた。

「………っ!?」
「なになに~?何起きてるわけぇ?」
「これは、一体…」

明らかに異常な状況を見て、誰もが目を瞠り、表情を険しくする。
だがそれと同時に、バッと朝比奈に元からいたメンバーの視線が集まる。

「え、何。何で俺見るの!?言っとくけど俺、そこの彼と面識ないからね!?」
「だ、だって…なあ?」
「『省吾さん』っていったら、朝比奈さんしか…」
「…そうですか。あなたが『省吾さん』……そうですか。じゃあ」

呟いて、少年はものすごくイイ笑顔を浮かべた。

「死んでくださいっ☆」
「そんな明るく言われても!!?」

動揺しつつも朝比奈は応戦しようとして、そして何故か一瞬で少年は目の前に―――

「―――――C.C.!?」
「お前…契約者か?何で此処に」

少年のナイフを持つ手は、C.C.によって抑えられていた。
だが、少年だけではなく、C.C.までもが一瞬で移動したことに周囲はさらに動揺する。
そして、C.C.の存在に動揺したのは、少年も変わりないようだった。

「………『魔女』…っ!邪魔しないでくれる!?」
「悪いが、そいつは貴重な戦力なんだ。それに私はC.C.だからな、命令される謂れは無い」
「く…」
「で?お前は誰だ?発言からしてルルーシュ絡みの者と見たが」
「るーくんの!?」
「こいつが口にした呼び方はルルーシュしか使わないだろう。で、誰だ」

C.C.に譲る様子は見られない。
少年は軽く舌打ちして、C.C.の腕を振り払う。

「…僕は、ロロ・ランペルージ」
「ランペルージ、って…」
「ええ。僕はルルーシュ・ランペルージの弟ですよ」
「弟?」

ざわり、と周囲がざわめく。

ルルーシュ・ランペルージ。幹部メンバーとは一通り面識がある。
朝比奈と仲がよく、藤堂とも面識のある、カレンのクラスメイトのブリタニア人の少年だ。
だが、どうして彼の弟がこんなところに。

また、他の者とは違う意味で訝しく思ったのが4人。事情を知っている、C.C.、カレン、藤堂、朝比奈だ。

「『ルルーシュ・ランペルージ』に弟はいないはずだけど?いるのは妹だけだよ」
「違いますよ。『ルルーシュ・ランペルージ』には妹なんていません。いるのは弟だけです」

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアなら、話は別ですけどね?
声には出さず、唇だけで紡がれた言葉に朝比奈はさらに警戒心を露にした。

(こいつ、知って…!?)
「兄さんに甘えてもらえるなんて羨ましい!兄さんは僕のなんだからさっさと消えてください!」

ちょっと待て何だその理由!?

「本当に弟かどうかもわかんないような奴に言われたくないね!だいたいるーくんは俺のなの!勝手なこと言わないでよね!」

普通に返すな朝比奈――っ!?

緊迫感溢れる空気はここにきてなんだかグダグダになりつつあった。シリアスは何処へ行った。
C.C.なんて呆れたように「また余計なものを引っ掛けて…いつになったら自覚するんだアイツ」なんて呟いている。

「うるさいな!兄さんが弟だって言ってくれたんだから僕は弟なんだよ!」
「ああ、そういえば聞いたことがあるな。お前、アレだろう?ナナリーの代役の偽者の」
「…にせもの……?」
「偽者なんかじゃないっ!」
「弟だというのも記憶が書き換えられていた間の話だろうに。……ん、もしかして…そうか、あいつほだされたのか。相変わらず情に弱い」
「ちょっと待ってC.C.!書き換えられたってどういう…」
「そのままだ。ゼロとしてブリタニアに捕まってから記憶を都合のいいように改竄されてそいつらが監視…って、あ」

時が止まった。

「つまり、ゼロってあのボウヤだったわけぇ?」
「あ、あんなに若い子に、俺たちは全部押し付けていたのか…」
「そうか、ルルーシュ君が…そうだったのか。納得だな」
「あの少年がゼロ…」

思わぬところで判明したゼロの素顔。そうか彼が。――その正体に関して思うことは人それぞれのようだ。
ざわつきだした周囲に慌てたカレンはC.C.へと詰め寄った。

「どうするのよ収拾つかなくなっちゃったじゃないのC.C.!?」
「…すまん、お前もあの眼鏡もゼロが誰だか知っていたからつい」
「つい、で済むことじゃないでしょう!?」
「ん?カレンは知ってたのか?」
「あ、……うん。黙っててごめんなさい、扇さん」
「……朝比奈。どうして教えなかった」
「だってるーくんが黙っててくれって。あー、でもなんでるーくんが俺たち助けにくるのに1年も待たせたのか納得。おかしいとは思ったんだよねー。記憶ない上に監視されてたら当然か」
「そうだな。俺たちは、それでも日本のために帰ってきてくれたゼロに…ルルーシュ君に、感謝しなくちゃいけないな」
「同感だ」

そんな感じでなんか本人の知らぬ間にゼロであることがバレたが、なんかいい方向に行っているようだ。よかったねルルーシュ!
だが、お忘れではないだろうか。そもそもこんな事態に陥った原因を。

「……まあ、この展開は予想外だったけど。とりあえず死んでくれないかな『省吾さん』」
「君みたいなガキに『省吾さん』なんて呼ばれる筋合い無いよ。むしろ気持ち悪いからやめてくれる?」
「よかった。実は僕も言ってて気持ち悪かったんです。じゃあ死んでください眼鏡」
「ネーミングセンス無いにも程があるね。ていうかC.C.のパクリじゃないのそれ。それに死なないし。死ぬ気無いし」

2人の周囲はもはや氷点下。幻覚だろうか、なんだか間にバチバチいってるナニカが見える。
もちろんそこに誰も近づこうとは思わなかった。誰だって命は惜しい。

「…ねえ、あの…ロロだっけ?さっきあいつが監視とか言ってなかったC.C.」
「言った。弟役としてルルーシュを見張る役目らしい」
「なんかもう監視の意味無いんじゃないかしら」
「無いな。無節操に誘惑する癖は未だ健在のようだな。しかも無自覚」

ぼそぼそ聞こえてくる会話の内容と現状のあからさまな齟齬に何か思わないでもない。とりあえずそれでいいのかブリタニア。
この場合は取り込まれる監視が悪いのか、それとも陥落させてしまったルルーシュがすごいのか。…おそらくルルーシュがすごいんだろう。

とりあえず団員たちはとばっちりを喰らいたくなかったので、そのすごいルルーシュことゼロを待つことにした。早く来ないかな!


「…おいお前達、一体何を集まって……」
「るーくん!」「兄さん!」
「「どっちの方が好き!?」」
「……何がだ」

                                    

さあ、メシアの御出座しだ!

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HN
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可愛い~vv
いやぁ~ロロの嫉妬は可愛いですね!
朝比奈さんのマイペースも素敵過ぎます。もう我が道を行くって感じで。
C.Cのうっかりでゼロバレしても騎士団に受け入れられて、知られたと知ったるーくんの驚きようはとっても可愛いと思います。これで騎士団の中にもるー君を思う人が増えたりして・・・v。
天然無自覚万歳。今後の展開が楽しみです!
ちょっとブラコンが入ったロロにも萌えてしまいました。あぁ楽しすぎるこのシリーズ!
臣近 2008/06/14(Sat)22:32:31 編集
てんくす!!(ノ´∀`)ノ
まじでありがとー!!嬉しいぜよw


ロロ……、グッジョブだw
純真無垢で繊細なロロも好きだけど、若干小悪魔なロロも好きです。いや、もっと黒くたっていい!(何)
真っ黒に染まっていても、そこに愛があるのならば!←

というか、ルルーシュがロロの髪を乾かし……

…やべ、妄想止まんね。
実際にそういうシチュが頭に浮かんできたよ。イラスト描いちゃおうかな…なんつって。

そのふわふわな努力の結晶、私にも触らしt(ry



ロロルル、+るーくんシリーズ。両方の希望に応えてくれてありがとな!
しかもさりげなくゼロバレ(笑)

ロロvs省吾さん。勝つのはどちらだ…


それは救世主(メシア)のみぞが知る。

Lily 2008/06/15(Sun)02:11:58 編集
可愛いなぁvv
なんつーか、ロロVS朝比奈ですか。
弟(偽者だけど絆され済み)と恋人(まだ未満なのかな?)の対決!!
どっちが有利かな?
案外、鶴(ルル)の一声でアッサリ片が付きそうですね。
「喧嘩をするんじゃない!!」
とか言って。
そのうち二人して7の人に襲い掛かることを期待してしまった。
ルル至上な二人が良いですね!!
瑠衣 2008/06/15(Sun)03:43:06 編集
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