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静謐なる柩。
捏造満載コードギアスの自己満足二次創作サイト。現在休止中。復活は未定。
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深い闇の中をたゆたう。
そこには何もない。そこには何もいらない。
僕のせいで■■■…いや。僕が■した人たちの、■■の、そして■■■■の“代わり”なんてどこにもないから。

僕は…もう何も、求めない。

ただ僕は、眠り続ける。
■■■の■■で僕が■してしまった■■の記憶を抱いて、深く、深く。

それは僕が背負うべきモノ。
それは僕は遺すべきモノ。

そして、どこにもない■■の代わりに、僕がずっと覚えていなければならない記録。

忘却は許せなかった。
■は許されなかった。

だから、可能な限り、永く、深く。

ただ、闇の中で眠り続ける。


―――いつかそれすら許されなくなるとは、思っていたけれど。

(こんな。こんなことを、望んでいたわけじゃない…)

望まなかったモノを与えられ、望んだモノを奪われ。
僕は、声無き悲鳴を上げ続けることしかできなかった。

(やめろ、やめてくれ)

『■■で発見されたこれはおそらく■■■■と同種の者の■■■だと思われます』
『それはそれは…興味深いことじゃないか』
『では…』
『ああ、お前達に任せよう』

ただ、これ以上誰かを■■ことなく、眠りたかっただけなのに。
        
『V-01、■■■■成功です』
『そうか、そのまま続けろ』

無理矢理に“与えられた”変化。
それは苦痛だった。不快だった。
そして―――絶望だった。

(やめろ)

欲しいのは■じゃない。
    
(いらない)

新たな■■でもない。

『それにしても、あの方も皮肉な呼び名をつけなさったもんだ』
『そうですね。確か―――でしたっけ』
『まあ、ある意味お似合いといえばお似合いだけどな』

(―――だめだ)
欲しいのは、守りたいのはそんなものじゃない。
そんなものの代償に、喪うわけにはいかない。

そうだ。
なによりも許せないのは、許してはいけないのは、

『え、本当に■に干渉しちゃっていいんですか?』
『かまわん。やれ』
『下手したらいろいろ消えちゃうかもしれませんけど』
『馬鹿か、そのときはまた■■■■ばいいだけのことだろ』

(やめろ―――!)


換  え  る  な

ノイズが奔る。
欠けていく。零れていく。刻まれていく。換わっていく。
僕が、“僕”の生きてきた全てが。全てが、塗りつぶされていく。

そして―――

 


「―――っ!」

急に意識が浮上し、覚醒へと導かれる。
周囲にあるのは、予期した暗闇ではない。
かといって“あの場所”でもない。

「…ここ、は」

自分がいる場所はいわば普通だった。
あまりに“普通の空間”だった。

さらに自分は拘束されているわけでもなく、ただベッドに寝かされているだけのようだ。
特に何かをされたというわけではないらしい。
変化をあえていうならば、着ていた服を着替えさせられているくらいか。

(でも、なんでこんなところに…)

例え武器をもっていなくとも、危害を加えられたわけではないといっても(加える気は別に無かったが)、
明らかに自分は不法侵入をした不審者以外の何者でもなかったと思うのだが。

しかし、それは歓迎すべき事だろう。
意識を失ったとはいえ、今まで身体が何より欲していた休息を取ることができたのも事実だ。

体を起こし、立ち上がる。そしてドアから出ようとした、その時。

「あら、もう起きてたの?体の具合はどうかしら?」

意識を失う前に見た、金髪の女性が部屋へと入ってきた。
あの時一緒にいた車椅子の少女と、メイドらしき女性も傍に控えている。
自分のタイミングの悪さを呪いながらも、とりあえず礼を述べておく。

「僕を此処に連れてきてくれたのは君みたいだな。ありがとう、おかげで大分よくなった」
「やだ、気にしなくていいのよ?で、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「…聞きたいこと」
「別に軍に通報するとかそんなんじゃないわよ。でも、何処の誰かくらい教えてくれても罰は当たらないと思わない?」

彼女はそう明るく言って、軽くウィンクしてみせた。
それから笑顔で片手を僕のほうに差し出す。

「私はミレイ。ミレイ・アッシュフォードよ。今は貴方が倒れてからだいたい1時間、ってところかしら?」
「……」

なお無言である僕の態度をどう受け取ったのか、ミレイさんは車椅子の少女の方を見て、「ほら、ナナちゃんも」と促す。

「初めまして。あの、私はナナリー・ランペルージと言います。こちらはメイドさんの咲世子さんです」
「篠崎咲世子と申します。どうぞよろしくお願いしますね」

にっこり。

笑顔で少女と女性は…訂正。ナナリーと咲世子さんは僕の方を見る。無論ミレイさんもだ。

…先手をとられてしまった。これでは名乗らざるを得ないじゃないか。

「僕は…」

その続きを口にしようとして、目を見開く。

わからな、かった。
僕は誰なのか。何処に住んでいるのか。家族は。人種は。思想は。
そう、僕の…“僕”に関することが、綺麗に抜け落ちている。

何故。だって、おかしい。こんな、―――どうして!?


混乱し、硬直した僕の様子を見て、彼女たちも何かを感じたらしく、それぞれ顔を見合わせていた。


「…もしかして、分からないのかしら?」
「……」

恐る恐る、といった感じで尋ねてくるミレイさんに、沈黙でもって答える。
ミレイさんはすっと表情を真面目なものに切り替えると、「いくつか聞きたいんだけど」と質問し始めた。

「貴方は何人かしら?日本人?それともブリタニア人?もしくは他の…」
「……」
「家族構成は分かる?何人で暮らしていたとか」
「……」
「好きなもの。または嫌いなもの。いっそ趣味とかでもいいわ」
「……」
「…此処は何処だか、分かる?」
「…それはどういう意味でなんだ?」

ようやく声を返した僕に、ミレイさんは「そうねえ」と悩む。
…どうやら、残りの2人は静観することを決めたようだ。ただ黙って僕らの様子を見ている。

「…じゃあ。ここはなんて国かしら?」
「旧日本。…今はエリア11だな」
「日本人はなんて呼ばれている?」
「イレヴン、と」
「日本の国旗の意味は?」
「日の丸、だな」
「和菓子といえば」
「饅頭や羊羹、牛皮や練り切りなんかじゃないか」
「ブリタニアの国是」
「要は弱肉強食だろう」
「…話しているのはブリタニア語よね」
「……そういえば、そうだな」

余計にわけが分からなくなったようだ。
おそらく一般常識、そして国の文化に対する理解度で、僕がどこまで覚えているのか、
どこの国の者なのか調べようという意図の質問だったのだろう。
しかし、僕は今どちらの質問にも難なく答えている。
ブリタニア語を当たり前に話すブリタニア人の容姿なのに、エリア11にも詳しい。
我ながら、一体自分は何なんだと思わずにはいられない。

思考が少なからず顔に出ていたのか、ミレイさんはちょっと表情を緩めて苦笑した。

「KMFって何か分かる?」
「ナイトメアフレームの略称。現在開発されているのは第七世代まで」
「じゃあATP」
「…アデノシン三リン酸。いわば人の細胞のエネルギー源」
「酵素が一定以上の温度で失活する理由」
「蛋白質によって構成されているため熱変性が起きて性質が変わってしまうため」
「サクラダイト」
「レアメタルの一種で、フジ周辺で多く発掘されるとか」

それからもいくつか質問をして、どうやらミレイさんの中では何か結論が出たようだった。

「多分、記憶喪失の一種ね。自分に関することだけごっそり抜けてるみたいだわ」
「記憶喪失、ですか…?」

それまでずっと黙って僕たちの会話を聞いていたナナリーが、不思議そうに声を返す。

「だって、一般常識とか文化とかに関しては普通以上に答えるのに、ちょっとでもプライベートに触れると駄目なのよ?
そういうパターン、本とかでよくあるじゃない」
「そういえば、ありがちなパターンではありますね」

ミレイさんと咲世子さんはその説で納得したらしい。
ナナリーはそれを聞いて、困ったように「大変です…」と呟いた。

「何が大変なのですか?ナナリー様」
「だって、お名前が分からないのでしたら、この方をなんとお呼びすればいいんでしょう?」

……それもそうだ。

そしてふと、先ほどまで見ていた夢を思い出す。
ところところノイズが入って詳しく覚えていないが、確か“あいつら”に僕は―――

「…Ramshackle Abiding Ideal V-01」
「え?今、なんておっしゃったんですか?」
「……いや、ライとでも呼んでくれ」

とっさに思い浮かんだ言葉の頭文字を繋いで答えていた。
だが何故か、告げた名は予想以上にしっくりきた。

「ライさん、ですか。素敵なお名前です」
「うんうん。いい名前じゃない♪」

2人は僕の名前を褒めてくれた。咲世子さんも柔らかく笑っている。

「それじゃあ、本当に世話になった。服は…いつか、必ず返す。ありがとう」

言って、そのまま玄関を探しに行こうとする僕の手を、慌ててミレイさんは掴んだ。

「ちょ、ちょっと待ちなさーい!貴方、何も分からないのに何処にいこうとしてるの!?」
何かアテでもあるわけ!?」
「いや、それは無いが…でも、これ以上迷惑をかけるわけには」
「もう!そんなこと気にしなくていいのよ!うちはそれなりにお金持ちなんだし、人が一人増えたくらいどうってことないわ!」
「しかし…」

頷こうとしない僕に痺れを切らしたのか、ミレイさんは「いいから、ここに居なさい!」とごり押しする。
僕は救いを求めてナナリーと咲世子さんの方を見たが、思わぬ所から止めが刺された。

「でしたら、クラブハウスに住んだらいかがですか?きっと、楽しいと思います」
「……ナ、ナナリー?」

ミレイさんはその発言に目を輝かせて、高らかに宣言した。

「ナナちゃんナイスアイディア!それ決定!ライ、貴方はこのクラブハウスで生活しなさい!
 これは貴方を拾った恩人としての命令よ!」

決定的だった。

「ちょ、待っ……」
「さーて、そうと決まれば男子用の制服おじい様に頼んでおかなくちゃね!
 言っておくけどライ、いたいけな乙女の願いを無碍にして、泣かせたりしたら許さないわよ~?」
「泣かせっ!?いや、だから僕は…」
「ちなみに反論は受け付けませーん!じゃあまた明日ね!」

満面の笑みを浮かべて、足取り軽やかにミレイさんは去っていった。
僕は暫く呆然としていたが、ぎこちない動きでナナリーと咲世子さんを振り返る。

「それじゃあ、明日からライさんも学校に通うんですね!とっても楽しみです!」
「そうですね、ナナリー様。それではライ様、夕食に致しましょう。すでに準備できておりますので」
「咲世子さんはお料理とってもお上手なんですよ。きっとライさんも喜んで下さると思います」
「まさか食事を放って、出て行く…なんて、仰いませんよね?」

―――もはや、僕に抵抗する術は残っていなかった。

こうして僕は咲世子さんお手製の夕食を頂き、なんだかんだで言いくるめられ、
このクラブハウス及びアッシュフォード学園(というのだとナナリー達が教えてくれた)でお世話になることとなった。


…ちなみに、咲世子さんの料理は確かにすごく美味しかった。

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ライ可愛い!LC嵌ってます~!
Bぶた 2008/07/06(Sun)13:59:11 編集
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