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静謐なる柩。
捏造満載コードギアスの自己満足二次創作サイト。現在休止中。復活は未定。
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「―――会長。話したいことが、あるんです」

2人以外は誰も居ない、もう空の色がほの暗い、そんな時刻の生徒会室。真剣な声音で、真剣な表情で、告げられた言葉。
ミレイは思わず動きを止め、そして同じように真剣な、しかしどこか不安そうな雰囲気を滲ませて、ルルーシュを見た。

―――最悪の、事態が。どうか、来ないでほしいと願っていたことが、起きてしまったのか。
どうして、どうして!ただ、私達は、私は、この方達に、この大切な皇女様達に、人並みの幸せを感じてもらいたいだけなのに…!

しかしそれでも、原因はいくつも思い当たっていた。

行動が活発になりつつある黒の騎士団。(これには干渉しようがない)
転入してきた『軍人』の枢木スザク。(皇族からの命令だった)
すぐ近くに居を構えてしまった特派。(本国の宰相直属の組織だ、断れなかった)
ユーフェミアによって為されてしまった彼の、いや…彼女の、『大切な友達だと思っていた』幼馴染への騎士任命。(あんなにも愚かな男だったなんて!)
そしてそのパーティーに来てしまった自身の『婚約者』。(アレは完全にこちらの失態だった!)

ああ、なんてことだろう!「守る」と言っておきながら、こんなにも不安要素を放置せざるを得なかったなんて!
これでは、いつこの大切な皇女様がアッシュフォードが作った綻びだらけの箱庭を出て行くと決めてしまったとしてもおかしくないではないか!

泣きそうになりながらも、表情には出さないよう、ぐっと力を込める。
でもきっと、この優しくて聡い主は気付いてしまうのだろう。違うのに。もうこれ以上足枷になんてなりたくないのに!

続く、言葉を待つ。例えそれが別離を宣言したとしても、それでもそれを受け入れなければ。
いいの、今の危険な状況は明らかにアッシュフォードの責任だから。
…こんな時、思う。力が、力さえあれば、守れたかもしれないのに。

そして、ミレイが主と定めた大切な皇女様は告げた。

「実は俺、け、結婚したんです!」


……その時のミレイの表情は、かつて見たことが無いほど間抜けな顔だったとルルーシュは後にこっそり語る。

*  *  *  *  *  *  *  *

「いやあ、それにしても吃驚したわ~。ルルちゃんが結婚、ってとこもだけど、しかも相手が奇跡の藤堂」

ミレイはからっと笑いながら、面白そうに言う。
目の前には、美しい白い衣装で着飾られていくルルーシュの姿。
幼いころから男装せざるを得なかったルルーシュがこうして女の格好をしているのが感慨深く、そしてとても嬉しかった。

あの後一通りの説明はルルーシュから聞いたのだ。
ちなみにルルーシュの結婚発言の直後にミレイが返した言葉は「なんで結婚式に呼んでくれなかったのっ!?」だったりした。
戸惑ったように「まだあげてない」と返したルルーシュを問い詰めて、理由とか相手とかいろいろ聞き出したのだ。
『結婚式は乙女の夢!よってルルちゃ…ゼロとその旦那様の結婚式の決行を要求するわ!!』と黒の騎士団に乗り込んできたミレイに、なぜかノリノリで同調した女性陣。(もちろんゼロことルルーシュは除くが)
1人で来るのは危険だと思わなかったのかとかいろいろ言いたいことはあったが、何故かそのノリに団員達まで飲み込まれ、本日騎士団で結婚式が行われることが決定した。
衣装は先日キョウトから送られてきた白無垢を使うので、正しくは神前式か。
神社で行われるわけでもないし、同席するのは家族というより騎士団幹部のメンバー+αなのだが、まあそこはいいのだ。

そんなワケで、着飾られているルルーシュの前には、ミレイにカレン、ナナリー、咲世子、C.C.、井上、千葉、ラクシャータ、そして神楽耶がいる。
あとは神楽耶が連れてきた使用人…というか、着付け及び化粧係の者が。
神楽耶はゼロの正体がルルーシュでしかも女だったという事実には多少驚いたようだが、「幼馴染のお祝い事ですもの、私も是非!」と喜んで今回の事に参加したのだ。

そして花嫁はいくつになっても女の憧れ。
瞳を輝かせながら誰もが美しいルルーシュの姿を見ていたが、そこでカレンがミレイの言葉を疑問に思う。

「あれ?ルルーシュがゼロってところには驚かなかったんですか?」
「うーん、そこはまだ納得できたかなあ。ルルちゃんのことだからいつか行動起こすとは思ってたし」

伊達にルルちゃんの保護者役として此処にきてるわけじゃないのよ、とカレンに軽くウィンク。

そう、籍の方は保護者の欄はいつのまにかキョウトの六家…というか、桐原公が代わりに記入し、受理されたのだが、ミレイとしてはそこが不満だったらしく、今までルルーシュとナナリーを庇護してきたアッシュフォードの代表として、今回の神前式での保護者役は譲らなかった。
ついでにいうと、何故かC.C.も譲らなかった。
よって新婦側の親族は、父親役としてC.C.、母親役としてミレイ、そして妹のナナリーと世話役の咲世子という摩訶不思議なことになっていたりする。
ちなみに、新郎の藤堂の親族役は四聖剣だ。
……実は、今回斎主を務めてくれる桐原公が至極残念そうにしていたとか、そんな裏話は置いといて。

「そういえば、お姉さまは藤堂さんと上手くいってらっしゃるんですか?」

そう首を傾げてみせるナナリーは、自分だけルルーシュの白無垢姿を見れないことを残念がりながらも、『お姉さま』と堂々呼ぶことができる喜びも隠しきれていない。

そして聞かれた内容にルルーシュは思わず赤くなり、いつも騎士団にいる者達はにやにや笑ってみせた。

「もう、なんていうか、ねえ?」
「見てるほうがご馳走様ーっていうか」
「ルルーシュもまんざらではなさそうだしな」
「最近はよく中佐といるように思えるんだが?」
「見てて微笑ましいっていうかぁ、和む光景よねえ。藤堂はわりと一途そうだし、なんだかんだ言ってゼロも嫌いじゃないみたいだしぃ?」

もうなんというか、効果音がニヤニヤというか、ニヨニヨというか。
明らかに面白がっている様子にルルーシュはますます顔を赤く染めてぷるぷる震えるが、まあ、ぶっちゃけ勝てっこない。

しかし、「へえそうなんだ~」と同じように人が悪い笑みを浮かべるミレイに思わず怒って名前を呼んでしまい、その声を聞いたナナリーがまた不安そうになる。

「その、お姉さまは、藤堂さんがお好きではないのですか…?」
「ほえっ!?い、いや、そうじゃないぞナナリー!別に俺は鏡志朗さんを嫌ってなんか…」
「へえ~?下の名前で呼んでるんだ?いいじゃないの、青春青春♪」
「ああもう黙ってろミレイ!あのな、ナナリー…その、鏡志朗さんは確かに強引なところもあるが、でも俺の意思を尊重してくれるし、やっぱり年上だから懐が深いというか、大人だし、…か、格好いい、し…それに優しくしてくれたし」
「あらあ、やっぱりもう食べられちゃってたんだ~?」
「っ!?///」

ラクシャータの言葉にぼっと顔から火が出そうなくらい真っ赤になるルルーシュ。
そこまでは皆知らなかったのか、少し虚を衝かれたような顔で固まったが、ルルーシュの反応からして、これは確実に。

「あらあら、ルルーシュってば藤堂様に愛されてますのねv」
「流石に私もお前が大人の階段を上っていたとは気付かなかったぞ?ふふ、なかなかやるじゃないか」
「た、食べられてって…うわあ////」
「あれ、カレンにはちょっと刺激強かったのかしら。でも本当いいわね、幸せそうでv」
「…中佐の手がここまで早いとは思わなかったな」
「ルルーシュ様もついに大人になられたのですねえ…」
「ていうことは結婚初夜じゃないのね今日は。いやでも、籍入れた日とはズレてるんだし、そっちが初夜だったのかしら?」
「お・ま・え・ら…っ」

いい加減沸点を越えそうなルルーシュに一同は「ごめんなさーい」と笑いながら返す。でも絶対こいつら悪いと思ってない。
ルルーシュは立ち上がって怒鳴りつけてやりたかったが、化粧を終え、現在髪を整えてくれている女性のにこやかな笑顔が怖くて動けない。
だってこの人プロだ。笑顔だけど「てめえ動いたらどうなるか分かってんだろうな?」という副音声が聞こえ…いや、なんでもない。

それでもナナリーは安心したようで、「よかったです」と今度こそ憂いなくにこにこ笑っている。
さすがはいきなり藤堂が挨拶に来ても動じることなくあっさり祝福した少女。何気に一番強いのかもしれない。

「今回は私が巫女役を務めさせていただきますの。ですから、舞を楽しみにしていてくださいね!ルルーシュが幸せになれるように、気合を入れて舞いますわ!」
「……有り難う、神楽耶」

その言葉にふわりと柔らかい笑みを浮かべたルルーシュは、いつになく綺麗に見えた。
思わずその場にいた者はほう…と息を漏らす。
……ついでに、今のルルーシュの服装及び化粧や髪型を整えた方々は密かにガッツポーズをした。よっしゃあ流石は私(達)の渾身の力作っっ!!

ようやく完成したルルーシュの花嫁姿はなんとも形容しがたい、美しいものだった。
もともと肌が白いので白粉は最低限しか塗る必要がなかったため、純白の衣装と素肌の輝きが、思わず手を伸ばしたい衝動に駆らせる。
塗られた紅も、毒々しい赤ではなく、もう少し柔らかい色合いの紅で、白い肌の中で色づいた唇が存在を主張し、どことなく艶かしくもある。
もともと髪は日本人にさえ珍しいほどさらさらで天使のわっかができるような黒髪だったし、紫の瞳も今身に纏う色のどれともよく映えていて。

「……ちょっと、勿体無いわねぇ」
「ええ、勿体無いわ。これを男どもに見せるのは本当に勿体無い!」
「というより絶対これディートハルトが暴走するんじゃないか」
「あ、でしたらそのときは私が」
「ちょ、咲世子さんっ!?いいです、大丈夫です私が沈めますから!」
「私も手伝おう、紅月。カメラマンとしての腕は惜しいが、式を滅茶苦茶にされるのは御免だ。…格納庫にでも転がしておくか」
「…でしたら、私が代わりに記録に残しますね。一応それなりの腕を持っていると自負しております」
「そうね、頼めるかしら咲世子さん。皆さんもそれでいいですか?」
「ミレイがそう言うなら、俺は構わないが」
「あ、代役がいるなら安心ね。私も異議なーし」

次々に異議なしとの声があがる。哀れディートハルト、これで式に参加できる可能性は無くなった。自業自得だが。

「そろそろ藤堂様の方の仕度もお済みになっているのではないでしょうか?」
「そうよね~。大体こういうのは女の方が時間がかかるものだしぃ?」
「じゃあ行きますか!ルルちゃんの愛しの旦那様の元へ♪」
「……だからミレイっ///」
「うふふ、行きましょうお姉さま!」

そして部屋の扉が開かれる。
部屋の外には羽織袴を着た藤堂と、四聖剣の3人が待っていた。

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無題
こんにちは、お久しぶりです。瑞樹です。今回もとても素敵なお話でした! ミレイさん大活躍♪ さすがにいい仕事しましたね! でも確かに最悪の事態を考えていたのに実際はおめでたい結婚の報告だったらマヌケな顔をしても仕方ないですよね(笑) その後のセリフもさすがお祭り大好きなミレイらしいです(切り替えの早さもさすが!!)
 そしてかなりラブラブな藤ルルの様子に思わずニヤニヤしてしまいましたvv いつの間にか下の名前で呼んでいるし、ルルも藤堂さんにベタボレな感じが最高です~vv そして優しく食べられちゃったんですねルルvv 可愛すぎです!! でも本当に藤堂さん何時の間に。そんなに手が早いなんて!! でも前の強引さを考えたら納得かも。あぁもう本当に素敵すぎます~!! 
瑞樹 2008/06/02(Mon)23:13:19 編集
おめでとう
藤ルル、ラブラブ!
藤堂さんは寡黙で中々、進展が無いイメージが有ったのですが、そんな事はないですね!
少々強引な藤堂さんも素敵です!
ルルを幸せにしてくれると信じています!
瑠衣 2008/06/02(Mon)23:51:19 編集
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