× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「ゼロ!お前は、お前のやり方は間違ってる!そんな卑怯な方法で手に入れた結果に意味があると思うのか!?」 激しく戦いが繰り広げられている戦場。ランスロットから繋がれたオープンチャンネル。 不本意ながら、慣れていたのだ。学園でも、戦場でも、スザクによって声高に叫ばれる存在否定。 「ああ、それと紅蓮弐式は殿を。団員達の戦闘離脱が確認出来次第、我々も撤退――――」 ゼロの言葉が、止まった。 『ゼロ?どうかし…』 そして、無事に黒の騎士団は撤退した。 そう、例え敵将を仕留めたわけではなくとも、紛れもなくこれは騎士団の勝利だった。
彼に目覚めたセレナーデ
ゼロの無頼のコックピットが開く音が聞こえ、カレンは真っ先に駆け寄っていった。 「ゼロ、お疲れ様です!今日の指揮も、流石でした!被害も殆どありませんでしたし…」 惜しみなく向けられる賞賛の声。その場にいた団員達の殆どが尊敬と、いくらか縋るような崇拝が混じった目でゼロを見ている。 ゼロについていけば。 当然だ、そうなるようにしたのはルルーシュ本人。だからこそ、『ゼロ』は結果を出さなければいけない。 …そう、だからこそ。卑怯だといくらスザクに言われようとも、この道を違えるわけには、やり方を変えるわけにはいかない。 声をかけてきた者達に適当に返事を返し、ゼロはすぐにトレーラーの自分の部屋へと向かおうとした。 そして格納庫に背を向けようとしたゼロに、待ったをかけたのは朝比奈だった。 「そういえばゼロ、今日なんか途中で一回止まったよね?どうしたの?」 そう言われてしまえば、深く問うことはできない。 戸惑いつつも大人しく引き下がろうとするカレンの背後から、ふん、と鼻で笑う声が聞こえた。 「枢木スザクの言葉に、何か思うところでもあったのか?」 疲れたように、ゼロはその少女の名を呼ぶ。 「何を今更思ったかは知らんがな。アイツがいろいろ言い始めたのは今に始まったことじゃないだろう」 思い当たるところでもあったのか、あっさりと納得するC.C.の様子に、逆に納得がいかなかったのは団員たちだ。 「どういうことか、聞いていい?ゼロ、君は枢木の言葉の何処に反応したわけ?」 朝比奈が聞き返さなければ、おそらくそのまま流してしまっていただろう。 「……『思うところ』、か。そうだな、あえて言うならば」 ゼロらしくない、どこか諦めたようにも感じられる声。 「―――もしかしたら、私が生まれてさえ来なければ、母はしあわせだったかもしれない、と」 予想もしなかった言葉。 「母は、美しく、誇り高い人だった。だからこそあの男に目を付けられ、無理矢理孕まされた。その行為は母にとって酷い屈辱だっただろう。でもそれだけなら。もし『私』が生まれなければ、母はあんな所に留まらされることなどなかったかもしれない。…優しい人だったから、それでも私のことを愛してくれたが。きっと、私なんて生まれてこない方が―――」 ゼロが続く言葉を言わなかったのはおそらく意図的だろう。自嘲するかのように紡がれた言葉に、誰も何も言えなかった。 「あの、ゼロ!その…」 心配してくれているのだろう。慌てて何か言おうとするカレンに、気にするなと告げる。 そう、気にする必要なんてない。ただ『今日』だったから、動揺を露にしてしまっただけのこと。 「―――今日は、“殺された”母の命日だったから、な」 やはり、誰も何も言えなかった。
「……るーくん」 ゼロの部屋。入室にパスワードが必要なこの場所に勝手に入ってくることができるのは、自分と共犯者の少女、そしてもう1人。 「…省吾さん、重いから急に抱きつかないで下さいと何度言ったら……」 朝比奈はゼロを…否、ルルーシュをぎゅうっと抱きしめたまま、言葉を続けた。 「あんなクソガキが何言おうと、それは事実だよ。変わりない、事実だ。るーくんは、此処にいていいんだよ。生きてていいんだ。ううん、俺が生きてて欲しいんだ。だから、るーくん…」 ああ、なんでこうも上手く言えないんだろう。 大切なのだと。大好きなのだと。そう、朝比奈が想っていることを、感じてくれれば。 ルルーシュは暫く沈黙していたが、今まで仕事をしていた机の方から立ち上がり、朝比奈をくっつけたままベッドに移動した。 ぽかんとした表情を浮かべる朝比奈に、ルルーシュは抱きついたまま拗ねたように顔を背けた。 「……どうせ、あのままの体勢でも疲れますし、省吾さんは離れる気、なかったでしょう」 そう言ってぴったりくっついてくるルルーシュだが、態度とは裏腹にその手にはあまり力が籠められてはいない。多分、振り払おうと思えば振り払える。よく見れば、手が微かに震えていた。 おそらくこれは“拒絶されること”を前提とした、その上での甘えだ。 それでも、おそるおそるでもルルーシュから伸ばされた手に、少し頬が緩む。多分朝比奈は結構締まりがない表情をしているだろう。 枢木スザクは――唯一その可能性はあったが、今は敵。 つまり、ルルーシュがこうして『弱さ』を見せたのは、朝比奈が初めてだ。…あのC.C.とかいう少女はどうだか知らないが。明らかに甘えることに慣れていない様子からもそれが伺える。 つまり、それって、やっぱり。 「~~~~~~~るーくん大好きっ!」 朝比奈は思いっきりルルーシュを抱きしめ返した。驚いた声が聞こえるけど気にしない。 だって、それはつまり、ルルーシュの中で朝比奈が紛れも無く『特別』だということだ! 基本的に朝比奈が何をしても苦笑して許容してくれるルルーシュだが、もともとルルーシュの性格からして寛容だったので、あまり自分とルルーシュが仲のいい証明にはならなかった。 でも今の状況はどうだ。ルルーシュは、朝比奈に甘えて、頼っている。―――朝比奈、だけに。 「……省吾さんは、あったかいですよね。なんか、落ち着く…」 こわごわとしていたルルーシュも、手を振り払われなかったことでだんだん安心したのか、気持ちよさそうに猫のように目を細めて朝比奈に擦り寄ってくる。 (……俺だけのモノにならないかなあ) 密かに朝比奈は思ったが、表には出さなかった。人間の欲は無限なのだから、満たされればまた次が欲しくなるのは当然だ。 「ねえ、るーくん。俺思うんだけどさ。多分、間違わない人間なんていないんだよ」 ルルーシュの体がぴくりと反応した。朝比奈は続ける。 「俺だって、今は藤堂さんのこと尊敬してるし、大好きだけどさ。でも最初は目の敵にしてなにかとつっかかってたんだよ?」 ルルーシュの傍にいると言いながら第3皇女の騎士となり、ルルーシュを護ると言いながら傷つけ続ける矛盾したスザク。 それを朝比奈は口にしようと思ったが、やめた。ぶっちゃけ朝比奈にとってスザクはどうでもいいのだ。 ―――そして今。朝比奈がルルーシュにとって『特別』だと分かった今。 藤堂鏡志朗は全てにおいて朝比奈に『勝った』。故に朝比奈は藤堂を慕う。 だが、枢木スザクは朝比奈が興味を持つにふさわしいものを何一つ持たず、示していない。 「……そもそも?」 やっぱり俺のモノにしたいなあ、とそんな言葉は伏せておいて。 離れるころには、ルルーシュも『いつも通り』に戻れていたのは言うまでも無い。
…あれ?いやでも、るーくんの為にも理解者はいた方がいいのに。 ――――あ、もしかして、俺) PR この記事にコメントする
無題
えー、なんかお久しぶりです?
うん、枢木むかつきますね!! ほんとなんてことを言ってくれたのでしょう! 朝比奈さん独占欲はやく好きだと気づけー。 そして、ルルを幸せにしてやれー だって「特別」だし。 やっぱいいですね。るー君シリーズ。 頑張ってください、応援してます。
ありがとうございます
こんばんは、天海です。
素敵な小説をありがとうございます。 これからも朝比奈とルルーシュはお互いに癒しの存在であってほしいなと思いました。 というか、朝比奈は自覚してなかったんですね。 無意識での独占欲って可愛くて好きです。 枢木は別ですけど。 これからも、その癒しと独占欲を持ってルルーシュを枢木という名の外敵から護ってあげてください。 次のお話も楽しみにしています。 それでは。
無題
今晩は。
枢木は言って良い事と悪い事の区別がつかないんでしょうかね?あなたがやっている事の方がよっぽど親不孝だと思うのに・・・ でも、るーくんの傍に居てくれる人が居てよかったです。朝比奈さんにくっついて安心する、るーくんいいですね! 目指せ!兄から恋人?頑張れ朝比奈さん! るー君シリーズとっても好きです。これからも影ながら応援しています。 |
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