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静謐なる柩。
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待っていた4人は、部屋から出てきたルルーシュの様子を見て目を瞠った。
その様子を見たルルーシュは、ちょっと不安そうな顔になり、おずおずと問いかける。

「あの……やっぱり、似合いません、か?」

俺はブリタニア人だし…と落ち込んでしまったルルーシュに、慌てて我に返った朝比奈がフォローを入れる。

「え、や、違うって!すっごく似合ってる!ちょっとあまりに美人だったから見惚れてただけだって!ね!?」
「あ、ああ。日本人じゃないとか、そういうことは関係ないと思うぜ。うん、すっげー美人だ」
「ですな。とてもよく似合っていると思いますぞ」

四聖剣の3人の言葉を聞いて、少し浮上したルルーシュはちらりと藤堂を見る。
黒い羽織と灰色の袴。渋くて、古き良き日本男児である藤堂には雰囲気的にもよく似合っていると思う。
いつもの軍服とはまた違う感じだが、道場の師範を務めていたこともあるせいか、袴を見事に着こなしている。

ルルーシュに見られていることに気付いた藤堂は、ふと口元を緩めてみせた。

「…とても、綺麗だ」
「……っ///」

とても愛しげな目で見られて、ルルーシュは恥ずかしくなって目を逸らす。
視線からも、声の響きからも、心からそう思っているだろうことがお世辞ではなく伝わってきた。

「わー…ホント心配要らなさそうね。これならルルちゃん幸せになれそうだし、任せてもいいかしら」
「そうですね。藤堂さんでしたら、お姉さまを任せられます。でも、泣かせたりしたら…うふふ、ね、咲世子さん?」
「もちろん、人形の用意はできておりますよナナリー様」

……なんだか怖い会話まで聞こえてきたが、聞かなかったことにして。

「では、私達は先にいっていますね!私は巫女の衣装に着替えなければなりませんし」
「…というか、時間は大丈夫なのか?着替えるのは結構大変なんじゃ…」
「いいえ?私は慣れてますもの。それに、白無垢と違って結構巫女服着るのってそんなに大変じゃありませんし。所詮は赤い袴ですもの。10分もあれば十分ですわ」
「じゃあ、私たちも先に行くわね。親族役以外は確か面倒だからって、…最初から後ろに控えてていいのよね?」
「はい。本来は親族のみで行われる儀式ですから、他の皆さんの入退場までやらなくてもいいかと」
「確か、会議室の机とかをどかしてぇ、それで神棚を運び入れたのよねぇ?じゃあ、先に行ってるから~」
「あ、待ってくださいラクシャータさん!それじゃあ、ルルーシュ。また後で!」

慌しく去っていく足音。ルルーシュと藤堂はどちらともなく顔を見合わせ、微笑んだ。
そして、親族役の一同も、その様子を暖かく見守っていた。

*   *   *   *   *   *   

―――式場となる会議室は、綺麗に飾られていた。
『日本』を思わせる空気に思わず誰もが頬が緩ませている。

そして、巫女服を纏った神楽耶の先導で、藤堂、ルルーシュ、四聖剣、そしてC.C.、ミレイ、ナナリーという順で入場した。
咲世子はカメラマンとして最初から会場に入っていたので除外だ。…今のところはディートハルトが務めているが。
ここでルルーシュと藤堂、それぞれの姿を見て、いたる所から感嘆の息が漏れた。

「ああ、ゼロ!なんたる美貌!まさにカオス…っ藤堂などよりいっそ私とむぐふっ!?」
「黙ってろ変態カオス!」
「ついでに、ホラ。どう?」
「く……わ、わたしは諦め……(がくり」
「…何注射したの?ラクシャータ」
「えー?ちょっとね、新薬の実験しときたかったからぁ。大丈夫、死にはしないと思うわよぉ?多分」
「ら、ラクシャータ…多分って…」
「だって殺しても死なないでしょぉコイツ。へーきよぉ」
「それでは、後は私が記録しますね」
「あ、頼みます咲世子さん!」

神棚の前に置かれた玉串案の前で、新郎と新婦、それぞれが左右に分かれて着席。

それから斎主を務める桐原が入場し、大麻(おおぬさ)で全員のお祓いをする。

「あ、コラ馬鹿玉城!さっさと立って!」
「つーか立ったり座ったり礼したりめんどくせーんだけど」
「そういうものなのよホラ全員で一拝して!あ、先に座っちゃ駄目だってば!」

その後、斎主が神棚へと向き直り、2人の結婚の報告と、そして神への感謝の祝詞(のりと)を読み上げる。
斎主が着席したのを見て、一同は着席。そして、巫女役の神楽耶が立ち上がり、舞を披露した。

心を込めて、舞ってくれているのだろう。
表情や仕草のひとつひとつにそれを感じて、ルルーシュは少し緊張していた顔を緩めて微笑んだ。
……こんな風に、祝福されるような結婚ができるなんて、考えもしなかった。

もともとブリタニアの皇族で、しかもそんなに高い地位でもなかったルルーシュが、望む相手と結ばれるはずがない。
十中八九が政略結婚であり、さらにいえば当時数が少なかった皇女として名乗りを上げてしまえば狙われることは分かりきっていたため、生まれたときから『男』として暮らしていたから。全ては、母が自分を守るためにしてくれたこと。
辛くないと言えば嘘だった。でも、それが最良の手段だと知っていた。だからずっとルルーシュは『皇子』であり、『兄』として在り続けたのだ。

そっと藤堂の横顔を見つめる。
少し強引ではあったけど、こうして、愛しいと思える人と、そして愛しいと思ってくれる人と、婚ぐことができるというのなら。それは、なんて。

神楽耶の舞が、終わった。
その見事な舞にその場にいた全員大きな拍手が送られる。神楽耶は嬉しそうに笑った。

媒酌人は夫婦がいなかったので省略している。
なので藤堂とルルーシュは従来より近い場所に座っており、誓盃の儀― 一般的には『三三九度の盃』と呼ばれる―では、お互いにお神酒を注ぎあった。
同じ盃を回して口をつけるのに照れが無いでもなかったが、無事に3つの盃を交わし終える。

「わー、下手に教会とかでキスしたりするよりいいかも」
「なんか、親密っていうか、結ばれたって感じがあるよな」
「同じものに口をつけるなんて、相手を信頼してる証だもんねぇ?面白いじゃない、日本の文化ってぇ」
「…そうだよな。やっぱりいいよな!日本万歳!」
「馬鹿、黙りなさい!」

そして、ルルーシュと藤堂は神棚に向かって立ち上がる。

誓詞奏上。神に向かって、誓いの言葉を新郎が言うのだ。
その内容は大概が神社によって決められた内容だが、別に個人で考えても構わない。
新婦は新郎の名乗りに続けて名前を言うだけなので、ルルーシュは藤堂が何を言うか、知らなかった。

しん、と静まった部屋に、藤堂の声が響く。

「―――幾久しく、運命(さだめ)を共に」

運命を、共に。
ルルーシュは思わず藤堂を見た。藤堂は、しっかりと前を見据えている。その言葉には、一欠けらの嘘も感じられない。

(……ずっと、一緒にいてくれるつもりなのか?)

信じていたスザクは道を違えて義妹の騎士となった。
でも、藤堂は、道を共にすると言う。―――いつまでも。

涙が零れそうだった。…嬉しかった。
おそらく、C.C.と契約し、人の理から外れた自分では、その誓いが果たされることはないだろう。でも、それでも。

敬って欲しいわけじゃない。
慰めなんて欲しくはない。
……助けて欲しいとは、愛して欲しいとは、言わない。

『その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?』

一般的な教会の結婚式での誓いの言葉だ。
でも、そうやって何時如何なる時も真心を尽くされることよりも、最期まで共に在ると言ってくれた藤堂の言葉が嬉しい。
そう、ただ、傍にいてくれるのなら。ルルーシュは、それだけでいい。それだけで、十分なのだ。

「終生、此処に変わらぬことを誓います。…藤堂鏡志朗」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」

声が震えないように細心の注意を払って、真名を口にした。
涙が出ていないだろうか、泣きそうな顔をしていないだろうか。

ふと藤堂と眼が合い、少し困ったように苦笑された。泣きそうな顔には、なっていたらしい。
微笑んで見せれば、安心したようだ。目元をかすかに和らげて、微笑み返してくれた。

指輪を、神楽耶が運んできた。本来なら斎主である桐原の役目であるが、おそらく譲らなかったのだろう。

―――指輪のデザインは、ミレイやナナリー達を含めた女性陣総出で考えてくれたらしい。
お互いの瞳の色のイメージだろうか、ルルーシュに嵌められた指輪にはブラックオニキスが、藤堂の指輪にはアメジストがあしらわれていた。
資金はキョウトとアッシュフォードから。「世界に1組しかないペアリングよ!」と誇らしげに言ってくれた、その気持ちが嬉しい。

そして指輪を交換し、神楽耶が今度は玉串を運んでくる。
玉串を額へと近づけ、ルルーシュは祈った。

(時が許す限り…願わくば、出来る限り長く。鏡志朗さんと共に、いられますように)

祈りが終わると2人でそれを神前へと捧げ、1歩下がってニ礼一拍し、元の位置に戻る。
親族の代表として新婦側からはミレイ、新郎側からは仙波が同様に玉串を捧げた。

それから全員の手元に置かれていた盃に、神楽耶がお神酒を注いで回る。
そして、一斉に立ち上がり、飲み干す。

その様子を見届けて、桐原は言った。

「……末永く、幸せにな」
「あら、神の末裔たる私が巫女を務めたんですのよ?2人とも幸せになって当然じゃありませんか!」

本来なら、ここで退場であるが、あくまで此処は騎士団のアジトで、さらにいえば本職なんて1人もいない。
その場にいた者たち――特に女性陣は、一斉に2人の…ルルーシュの元へと集まった。

「あーもールルちゃんてばホント可愛いーーーーっ!ねえ、写真撮りましょ写真!咲世子さーん、ツーショットお願い!」
「あ、ずるいです会長!私も!」
「私もお姉さまと撮りたいです!」
「というか、中佐ととりあえず2人で撮るべきでは…」
「いーんじゃないかしら?だってこれからゼロ…ルルーシュは藤堂のモノなんだしぃ?今くらい取り上げてもバチはあたらないわよぉ」
「まあ籍先に入れてたわけだから、元々藤堂さんのモノだったけどねー」
「ふん、細かいことはどうでもいいではないか。よし、ルルーシュ!私と写れ」
「……お前がこういうことに首を突っ込むとは思わなかったぞC.C.…」
「私はC.C.だからな」
「理由になってないだろう!?」
「気にするな。それより写真だ写真」
「ああもう…」

こうして、なんだかんだでその場は披露宴?…というか、無礼講に突入した。
思う存分祝って食べて飲んで騒ぎ、誰もが楽しそうに笑顔を浮かべていた。
「待ってください私は全然楽しくないですよ!?(←格納庫に縛られて放置されているディートハルト」

そして、騎士団での神前式は無事に終了し、立ち合わせた者にとって忘れられない日となったのだった。

 


 

 

(………それにしても)
(ん?どうしたルルーシュ)
(いや、これで仮面を被る意味無くなったなと思ってな)
(……そういえば、そうだな。『奇跡の藤堂』と結婚したなら、お前の血筋とか気にしなさそうだな日本人)
(いっそそのうち戦場でバラすのも一つの手だな。敵の動揺が誘えそうだ。どう思う?C.C.)
(…まあ、酷く動揺するだろうな、流石に。悪くない手だとは思うが……余計なものまで誘い出さないか?)
(余計なもの?)
(主にお前のシスコンの兄(姉)妹とか白兜のパイロットとかその他諸々…待てなんでそんな不思議そうな顔を。お前気付いてなかったのか!?)

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無題
こちらのお話も素敵です~vv 白無垢のルルも綺麗で可愛いでしょうけど、藤堂さんの袴姿もきっと渋くて格好いんでしょうね!! 二人ともお互いの姿に見ほれてそう♪ それにしても藤堂さん前の暴走が嘘のように今回静かですよね。やっぱりもう籍も入れて、ルルを食べちゃったから落ち着いたんですかねvv(笑) 前の強引な藤堂さんも好きですけど、今回みたいな大人で静かな藤堂さんも渋くて好きです! 
そして結婚式、藤堂さんの誓いの言葉、「幾久しく、運命(さだめ)を共に」にとても感動しました!! 本当に読んだときジーンと胸に響きました!! そうですよね、ただお互いに尽くしあうのではなく、何があっても、どんなことがあっても共に同じ道を歩む。今まで裏切られてきたルルには本当に嬉しい言葉だと思いました。ぜひ二人には末永く幸せになってもらいたいです!!

そして今回のお話を読んで、今までルルの結婚式のイメージはウエディングドレスだったんですが、今回のお話を読んで白無垢もいいなぁと思い直しました。特に藤堂さん、白いタキシードよりも袴姿の方がかっこよさそうですよね(笑)いや、タキシードでもかっこよいとは思いますけど(汗)

本当に今回のお話もとても素敵でした!! 最高すぎですvv  
瑞樹 2008/06/02(Mon)23:28:20 編集
無題
私も参列したかった!!
ルルは絶対綺麗で、藤堂さんは格好良いんですよ!
見なきゃ損ですよね。

籍は既に入れている。
見も心も藤堂さんの者ですね~。
この調子で行けば、子供も…。
瑠衣 2008/06/03(Tue)00:05:55 編集
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