× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「謝られるようなことは、されていません。それでは、僕は行くところがあるので」 目を伏せ、返したルルーシュはそのまま朝比奈達に背を向け、目的の場所へ行こうとしたが、明らかにその方角は町。 「待て、その怪我でどこに行く気だ!?」 思わず二人揃って絶句した。 「…君、自分で食事つくってるの?枢木の方から使用人回されなかったわけ?」 あっさり返された言葉に、もはや何も言えない。 「なんでそんな面倒なこと……無駄に意地張ってどうするのさ」 思い出すのはブリタニアの選民思考。 険しい顔つきになった朝比奈に、呆れたようにあっさりと、そう、至極あっさりとルルーシュは返した。 「いつ何処で毒が仕込まれているか分かったものじゃないでしょう。身の回りのことに関しても同じです。何をされるか分かったものじゃない。下手に信用できない使用人をおくのは馬鹿のすることです」 そう言って、皇子は諦めたように哂った。 「僕らには、『毒殺』は『事故死』と同義です。殺される方が悪い。そういう考えの場所でしたから。―――何処で何を仕込まれているか、常に疑ってなければ、とっくにこの世にいません。 軽く肩をすくめて、踵を返すルルーシュ。しかし数歩進んだところで、妙な顔をしてすぐ後ろにいる朝比奈を見た。 「…なんでついてくるんですか」 にやりと笑う朝比奈に、ルルーシュは黙り込んだ。 ぐるぐる思い悩むルルーシュを朝比奈は面白そうに見た。 そうか鈍いのか、と思いつつ。朝比奈は助け舟もとい自分の欲求を出してみた。 「ていうか材料買ってあげるからさ、俺も君の夕飯食べてっていい?皇子お手製なんてレアだよね」 最後の言葉にルルーシュはちょっと顔を歪めたが、それなら大丈夫かと思ったのか、朝比奈の言葉を了承した。 「そういえばさ、君の名前なんていうんだっけ?」 にっこり笑いかけられて、ルルーシュは少し戸惑ったようだった。 「………Lelouch」 ぽつりと呟かれた流暢な響き。朝比奈は聞こえた通りに聞き返すが、残念ながらブリタニアの言語の読み書きはできても、未だ発音は苦手だったりした。 「…間違ってた?」 なんか間抜けだなあと思わなくなかったが、ルルーシュは黙っていることにした。沈黙は金なり。 「絶対何か思ってるでしょ?」 言う気はないようだ。 「じゃああだ名でもつけるとか。ブリタニアでも愛称で呼んだりする?」 さらりと抗議は無視して「ほらいくよー」なんて声を掛けながら、ルルーシュの手を引いて歩き出す。 敵国の皇子だし、弱いし、ちょっと生意気なところもあるけれど。でもその心意気はわりと好きかもしれない。
そして無事買い物を終えて、ルルーシュの料理の出来栄えに驚いたり、ますますルルーシュが気に入った朝比奈がその日から構い倒すようになり、いつの間にか2人がどんどん仲良くなったり、というか仲良くなりすぎたりするのだが、それはまた別の話しということで。
(ねえ、ちょっと待って。住んでるところってここ!?だって皇族だよねるーくん。でもここどう見ても土蔵にしか見えないんだけど!? PR 朝比奈は、誰が見てもわかるくらいに不機嫌だった。 (……選択を、誤っただろうか) 密かに藤堂は思ったりした。口にはしなかったが。 (あそこまで朝比奈とスザク君の馬が合わないとは……) 仙波だったら、年長者の余裕でスザクと喧嘩するようなことはなかっただろう。 しかし、藤堂が呼んだのは朝比奈だった。純粋に実力で選んだのが拙かった。 2人の仲は良好とは言いがたいというか、険悪というか、―――正直に言えば、最悪だった。 いつまでこれが続くのだろうか、と思わず遠い目をしていた藤堂は視界を過ぎった光景に、目を見開いた。 「あれは…っ」 朝比奈が不思議そうにしているが、藤堂は今見えたものの方へ向かうことを優先した。 「何をしているッ!?」 散っていく子供達。中には中学生…下手したら、高校生くらいの者まで含まれている。 「大丈夫か、ルルーシュ皇子!?」 日本に留学生として送られてきたルルーシュ・ヴィ・ブリタニア以外の、何者でもなかった。 「……有り難う御座います、藤堂中佐。そちらの方は…確か、朝比奈さん、でしたか」 蹲ったままでは失礼だと思ったのか、ボロボロの体で立ち上がろうとするルルーシュ。 「構わない。それよりも手当てを…」 ルルーシュは至って冷静に返す。その瞳には不審と警戒の色がある。 「……そうか、失礼した。それでは、我々はこれで」 ルルーシュに背を向けようとしたその時、藤堂を追ってきて、黙って話を聞いていた朝比奈が唐突に口を開いた。 「君ってさあ、あーいうことされてもあのクソガキが絶対助けてくれるって信じてるの?」 朝比奈は前述したとおり不機嫌だった。機嫌が直るような出来事なんて何一つ起こっていないのだから当たり前だ。 「へえ、何?もしかして自分って可哀相、とかって自己陶酔にでも浸ってるわけ?」 拗ねたように唇を尖らせる朝比奈はあからさまに不満そうだ。 藤堂に「戻るぞ」と声をかけられた朝比奈は「はーい」とやる気なさげに返事を返し、もう1度ルルーシュを振り返る。 「まあ、せいぜい部屋に引き篭もってでもいれば?少なくとも、今みたいに目障りにウロウロしなければ、痛い目に遭うことは無い―――」 きっぱりと返されて、虚を衝かれた朝比奈はしばらくぽかんとしていたが、我に返り、訝しげな表情になる。 「…何、そういう嗜好でもあるの?そうじゃないなら、わざわざうろついてボコられたりする必要なんてないよね」 わざわざ、町をうろつく理由なんて何処に。 「僕たちが、留学生と称してこの地にいることは、誰もが知っています。ブリタニアに対して日本人がどういう印象を持っているか、理解しているつもりです。 ―――そんなこと、考えもしなかった。 嫌味のつもりで言った言葉に正論で返され、またその理由に納得はしたが、それでもまだ朝比奈は態度を改めようとはしなかった。 「でも、それは無抵抗な理由にはならないんじゃないの?」 「仕方がないことだ」とも言いそうなその様子にかちんとくる。 「ブリキのくせに生意気だ、と僕らの住んでいる場所にまで押しかけてこないと言い切れますか。あそこにはナナリーがいるんだ。これ以上あの子が傷つく必要なんてどこにも無い! 毅然として言い放たれた言葉に、愕然とした。 耐えるのは、ただ妹の為に。 この自分より一回り小さい皇子が思う『最悪』は自分に何かされることではない。 「………悪かったよ」 朝比奈は、自分の非を認めることにした。 自分の身をどうでもいいと思っているような点が見受けられる節は、少々納得いかないけれど。 さてさて、朝比奈から『ルルーシュ』に連絡があってから数日。 今はぱっと見ではルルーシュだと気付かれないように、いつもとは違うカジュアルな格好をして、帽子を深めに被っている。 そのため、ルルーシュの運動神経をよく知っている朝比奈が危惧したのはまずルルーシュの安全だ。 ギアスがあるから平気だ、と思わなかったといえば嘘になるが、『切り札』を易々と必要以上に使うのも危険。 ちらり。時計に視線をやる。待ち合わせの3分前、そろそろ来る頃だろうか。
密やかなるユーモレスク
「うわあホントにるーくんだー。改めて会うとなんか夢じゃないって実感するね」 ルルーシュを見つけるや否やぱあっと表情を明るくして駆け寄ってきた朝比奈。 基本的にルルーシュはナナリー以外による必要以上の接近には身構えてしまう。 …にも関わらず、久々に再会した朝比奈に対しては警戒するだけ無駄といわんばかりに。 「だって、好物食べようとしたときに目が覚めた、とかあるでしょ?一番いいところなのに!っていうか」 ごく小さな呟き。微かに拾った朝比奈は、続きを言うよう促す。 「これが、本当に夢であったなら。それなら、どれだけよかっただろうと…そう思ったことなら、あります」 でも、少しは自分の幸せ、夢見てもいいと思うよ。 そう優しく耳元で囁かれ、照れを隠すかのようにルルーシュはぐりぐりと額を押し付けてやった。 「じゃ、そろそろ行こうか。大分るーくん不足も解消したし♪やっぱりぎゅーってしてると落ち着くんだよねえ」 今の朝比奈の格好は、どこにでもありそうなシャツにジーンズ。あとは頭にバンダナを巻いていた。 ぱっと見、何も持っていないように見えるのだが… 「あ、そうそう。はいこれ、アイマスク」 そして、わくわくとその宴会芸用のアイマスクを付けるのを待っている朝比奈から、ルルーシュは無言でバンダナを取り上げた。 「こっちのバンダナでお願いします」 朝比奈は渋々アイマスクをポケットにしまって、ルルーシュの後ろに回って、バンダナで目を覆った。 「どう?苦しくない?」 きつすぎず、かつ緩すぎず。 「それにしても、どうやって連れて行こうかな。声掛けて注意促すだけじゃ絶対転ぶよね…」 確かに、正論である。でもなんだかルルーシュは釈然としなかった。 とりあえず朝比奈はちょっと考えて、思いついた案を述べてみた。 「あ、俺がお姫様抱っこして運ぶとか!」 思いっきり踵をねじこまれて、流石に朝比奈も悲鳴をあげた。いくら鍛えているとはいえども、痛いものは痛いのだ。 「ええと、それじゃあ、手を繋いでいくとか?」 言うとおりに右手を少し上げる。
何度も必死に伸ばした腕は、握り返されることもなく。 そして、アイツは今―――
「ほら、行くよ?」 手から、朝比奈の体温が伝わって来る。 「?何笑ってるの?」 今繋がれている手に、ちょっとあったかい気持ちになったなんて。
書き上げました!ちょっと長いかもしれません。
課題をやってたら話を書く暇が全くとれませんでした。
やっぱり毎日更新は無謀だったようです。二日連続で執筆時間どころか睡眠すらあやしい。 朝の3時とか4時までやってたので滅茶苦茶眠いです。 やっぱり一週間平均してせいぜい4時間程度の睡眠はきつい… 課題を溜め込んで提出直前に処理する癖のある自分のせいだとはわかってるんですが、やっぱり量が多すぎるとも思うんですよね。 とりあえず長くなりつつあるので途中でぶった切ってます。 後編は書きかけ。今日中に上げるつもりです。 前編の時点ではオールキャラ?でCPなしですが、後編は藤ルルの予定。むしろ藤→ルルですが。 無駄にルルはにょた設定です。これも後編で生きてくる設定のはず! ちなみにギャグです。後編で藤堂さん若干壊れます。というか壊します! 前編ではまだまとも…かな? |
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課題に追われ最近眠くて仕方が無いです。だれか睡眠プリーズ。
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