忍者ブログ
静謐なる柩。
捏造満載コードギアスの自己満足二次創作サイト。現在休止中。復活は未定。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

やりたいほーだいやりました(笑)
なんぞこれ。皇帝が親馬鹿、というよりブリタニアみんな馬鹿。
ルルが苦労性なのはうちのデフォルト。愛故に!

R2のTURN5の派生、無駄に卜部さんは生存です。
・・・多分派生なんてシロモノでもないですね。明らかに別物!

あ、ちなみにギャグです。ギャグ以外の何者でもないです!
終わり方微妙ですけど、それでもよろしければどうぞー
PR

スザクは、久しぶりに学校へと来ていた。
学校といってももう授業は終わっている時間だが、まだ生徒会のメンバーはクラブハウスで活動しているはず。
ここのところランスロットの新装備の調整やらなにやらで、しばらく暇が取れなかったのだ。

(ルルーシュ元気かなあ)

思わず笑みが零れる。あの黒猫のような友人はきっと心配してくれていただろう。
多分素直にそう言ってくれないだろうけど、そういうところも可愛いのだ。
ああ、早く会いたい!

心情も相俟って思わず歩く速度が早くなる。
そしてようやく辿り着いた部屋で、目当ての人物を見つけ、スザクは迷わず飛びついた。

「ルルーシュ!久しぶり!会いたかっ…」
「はいはーい、お触り厳禁!」

訂正。飛びつこうとした、だ。
ルルーシュはミレイの手によってスザクから遠ざけられていた。
その何が起こったかよく分かっていないきょとんとした顔も可愛いってそうじゃなくて。

「…会長、なんで止めるんですか……」
「当然じゃない。だってもうルルちゃん人妻だもの」

ひとづま。ヒトヅマ。……人妻っ!?

「ちょちょちょちょっと会長~~~!?ルルが結婚ってどういうことです!?ていうか相手誰!!?」
「そ、そうっすよ会長!それに人妻って…相手男なんですか!?」
「……というか、まだ結婚できる年じゃないんじゃ…男の子って、18歳だったよね?」

シャーリーとリヴァルは混乱を隠そうともせずにミレイに詰め寄る。
それに比べてニーナはわりと平静だ。…まあ、彼女にとって一番重要なのはユーフェミアについてだからかもしれないが。

「ああもう、落ち着きなさいよ。ルルちゃんはねー、実はいろいろ事情があって男装してただけであって、女の子だから相手の人が男で問題ないの!それに女の子の場合は結婚は16歳から許されてるでしょ?」

あっけらかんと言われた内容に、皆思わず呆然とする。
そんな中ルルーシュは「…いえ、言うなとは言いませんでしたけど……」と複雑そうな顔をしている。

あまりの事態に硬直していたスザクははっと我に返り、すぐさまミレイへと詰め寄る。

「でも20歳以下の結婚には保護者の同意が必要だったはず!よって正式には認められ……っ」
「そこはアッシュフォードが代理としてサインしといたから問題ナシよ。残念でした!」

即撃沈。
再びかちんと固まり、スザクはそのままさらさらと風化していく。

「え、なんでアッシュフォードが?」
「ルルちゃん達親いないもの。だからうちが保護者代わりなの」
「あ、だからクラブハウスで暮らして…ってそうじゃありませんって会長!」
「ちなみにコレ結婚式…っていっても日本式のだけど。それの写真ね、ルルちゃん綺麗だったわよ~」
「行ったのミレイちゃん!?それに、それってつまり…相手はイレブンってこと!?」
「マジで!?そうなのかルルーシュっ!?」
「………イレブンじゃなくて日本人だ」
「えええええホントなのルルっ!?ちょっと、カレンは何も思わないのっ!?」
「…私も、結婚式参加したから」
「ちょ、何ソレずるい!私も行きたかった!…あ、ホントに写真にいる」
「うわーナナリーちゃんと咲世子さんまで。……あれ?女しか写ってなくね?」
「旦那様とのショットもあったけどー、ルルちゃんが見せたくないかなーと思ってv」
「なっ、会長…っ!///」
「えーと、つまり、見せられないような顔?」
「馬鹿言うなっ!そんなわけ無いだろう!?」
「要するに~、ルルちゃんの独占欲よ♪」
「だから会長ッ!///」

石となったスザクを放置して生徒会一同はどんどん盛り上がる。
シャーリーも衝撃を受けすぎて失恋のショックを受けているどころではなかったらしい。
どうやらニーナも相手がイレブンというところは不安そうだが、結婚に関しては気になるらしく、興味を隠そうとしない。
リヴァルに関しては言うまでもなく。

「ホラ見て、結婚指輪vちゃっかり左手の薬指に嵌めてるのよね~」
「わ、悪いですかっ!?」
「いえいえー、悪いだなんてとんでもなーい」
「わー、ホントだ…いいなあ」
「なあカレンさん、相手どんな人だった?」
「私?そうね、私はお似合いだと思ったけど…ちゃんと、ルルーシュのことを大切にしてくれる人よ」
「…いいなあ」

うっとりとした目をする乙女達。面白がってるミレイとリヴァル。
双方のターゲットはもちろん新妻ルルーシュで固定だ。

「さあ、どんどん吐いてもらうぜルルーシュっ!」
「ね、やっぱりもうその、一緒に…ごにょごにょ」
「ルルちゃんはもう美味しく戴かれちゃったのよね~♪」
「えええ!?そうなの!?ルル、そこのところ詳しく!」
「言えるかあああ!?常識的に考えろ!」
「ルルーシュ…その、私も……」
「カレンお前もかっ!?」

まさに四面楚歌。
徹底的に追い詰められたルルーシュがその後まさに救世主のようなタイミングで現れたナナリーに助けを求めようとして、逆に止めを刺されたとかなんとか。

とりあえず本人も無自覚に失恋したスザクの耳には何一つ届くことなく、そしてスザクが正気に戻るまで長い時間が要されたのだった。

待っていた4人は、部屋から出てきたルルーシュの様子を見て目を瞠った。
その様子を見たルルーシュは、ちょっと不安そうな顔になり、おずおずと問いかける。

「あの……やっぱり、似合いません、か?」

俺はブリタニア人だし…と落ち込んでしまったルルーシュに、慌てて我に返った朝比奈がフォローを入れる。

「え、や、違うって!すっごく似合ってる!ちょっとあまりに美人だったから見惚れてただけだって!ね!?」
「あ、ああ。日本人じゃないとか、そういうことは関係ないと思うぜ。うん、すっげー美人だ」
「ですな。とてもよく似合っていると思いますぞ」

四聖剣の3人の言葉を聞いて、少し浮上したルルーシュはちらりと藤堂を見る。
黒い羽織と灰色の袴。渋くて、古き良き日本男児である藤堂には雰囲気的にもよく似合っていると思う。
いつもの軍服とはまた違う感じだが、道場の師範を務めていたこともあるせいか、袴を見事に着こなしている。

ルルーシュに見られていることに気付いた藤堂は、ふと口元を緩めてみせた。

「…とても、綺麗だ」
「……っ///」

とても愛しげな目で見られて、ルルーシュは恥ずかしくなって目を逸らす。
視線からも、声の響きからも、心からそう思っているだろうことがお世辞ではなく伝わってきた。

「わー…ホント心配要らなさそうね。これならルルちゃん幸せになれそうだし、任せてもいいかしら」
「そうですね。藤堂さんでしたら、お姉さまを任せられます。でも、泣かせたりしたら…うふふ、ね、咲世子さん?」
「もちろん、人形の用意はできておりますよナナリー様」

……なんだか怖い会話まで聞こえてきたが、聞かなかったことにして。

「では、私達は先にいっていますね!私は巫女の衣装に着替えなければなりませんし」
「…というか、時間は大丈夫なのか?着替えるのは結構大変なんじゃ…」
「いいえ?私は慣れてますもの。それに、白無垢と違って結構巫女服着るのってそんなに大変じゃありませんし。所詮は赤い袴ですもの。10分もあれば十分ですわ」
「じゃあ、私たちも先に行くわね。親族役以外は確か面倒だからって、…最初から後ろに控えてていいのよね?」
「はい。本来は親族のみで行われる儀式ですから、他の皆さんの入退場までやらなくてもいいかと」
「確か、会議室の机とかをどかしてぇ、それで神棚を運び入れたのよねぇ?じゃあ、先に行ってるから~」
「あ、待ってくださいラクシャータさん!それじゃあ、ルルーシュ。また後で!」

慌しく去っていく足音。ルルーシュと藤堂はどちらともなく顔を見合わせ、微笑んだ。
そして、親族役の一同も、その様子を暖かく見守っていた。

*   *   *   *   *   *   

―――式場となる会議室は、綺麗に飾られていた。
『日本』を思わせる空気に思わず誰もが頬が緩ませている。

そして、巫女服を纏った神楽耶の先導で、藤堂、ルルーシュ、四聖剣、そしてC.C.、ミレイ、ナナリーという順で入場した。
咲世子はカメラマンとして最初から会場に入っていたので除外だ。…今のところはディートハルトが務めているが。
ここでルルーシュと藤堂、それぞれの姿を見て、いたる所から感嘆の息が漏れた。

「ああ、ゼロ!なんたる美貌!まさにカオス…っ藤堂などよりいっそ私とむぐふっ!?」
「黙ってろ変態カオス!」
「ついでに、ホラ。どう?」
「く……わ、わたしは諦め……(がくり」
「…何注射したの?ラクシャータ」
「えー?ちょっとね、新薬の実験しときたかったからぁ。大丈夫、死にはしないと思うわよぉ?多分」
「ら、ラクシャータ…多分って…」
「だって殺しても死なないでしょぉコイツ。へーきよぉ」
「それでは、後は私が記録しますね」
「あ、頼みます咲世子さん!」

神棚の前に置かれた玉串案の前で、新郎と新婦、それぞれが左右に分かれて着席。

それから斎主を務める桐原が入場し、大麻(おおぬさ)で全員のお祓いをする。

「あ、コラ馬鹿玉城!さっさと立って!」
「つーか立ったり座ったり礼したりめんどくせーんだけど」
「そういうものなのよホラ全員で一拝して!あ、先に座っちゃ駄目だってば!」

その後、斎主が神棚へと向き直り、2人の結婚の報告と、そして神への感謝の祝詞(のりと)を読み上げる。
斎主が着席したのを見て、一同は着席。そして、巫女役の神楽耶が立ち上がり、舞を披露した。

心を込めて、舞ってくれているのだろう。
表情や仕草のひとつひとつにそれを感じて、ルルーシュは少し緊張していた顔を緩めて微笑んだ。
……こんな風に、祝福されるような結婚ができるなんて、考えもしなかった。

もともとブリタニアの皇族で、しかもそんなに高い地位でもなかったルルーシュが、望む相手と結ばれるはずがない。
十中八九が政略結婚であり、さらにいえば当時数が少なかった皇女として名乗りを上げてしまえば狙われることは分かりきっていたため、生まれたときから『男』として暮らしていたから。全ては、母が自分を守るためにしてくれたこと。
辛くないと言えば嘘だった。でも、それが最良の手段だと知っていた。だからずっとルルーシュは『皇子』であり、『兄』として在り続けたのだ。

そっと藤堂の横顔を見つめる。
少し強引ではあったけど、こうして、愛しいと思える人と、そして愛しいと思ってくれる人と、婚ぐことができるというのなら。それは、なんて。

神楽耶の舞が、終わった。
その見事な舞にその場にいた全員大きな拍手が送られる。神楽耶は嬉しそうに笑った。

媒酌人は夫婦がいなかったので省略している。
なので藤堂とルルーシュは従来より近い場所に座っており、誓盃の儀― 一般的には『三三九度の盃』と呼ばれる―では、お互いにお神酒を注ぎあった。
同じ盃を回して口をつけるのに照れが無いでもなかったが、無事に3つの盃を交わし終える。

「わー、下手に教会とかでキスしたりするよりいいかも」
「なんか、親密っていうか、結ばれたって感じがあるよな」
「同じものに口をつけるなんて、相手を信頼してる証だもんねぇ?面白いじゃない、日本の文化ってぇ」
「…そうだよな。やっぱりいいよな!日本万歳!」
「馬鹿、黙りなさい!」

そして、ルルーシュと藤堂は神棚に向かって立ち上がる。

誓詞奏上。神に向かって、誓いの言葉を新郎が言うのだ。
その内容は大概が神社によって決められた内容だが、別に個人で考えても構わない。
新婦は新郎の名乗りに続けて名前を言うだけなので、ルルーシュは藤堂が何を言うか、知らなかった。

しん、と静まった部屋に、藤堂の声が響く。

「―――幾久しく、運命(さだめ)を共に」

運命を、共に。
ルルーシュは思わず藤堂を見た。藤堂は、しっかりと前を見据えている。その言葉には、一欠けらの嘘も感じられない。

(……ずっと、一緒にいてくれるつもりなのか?)

信じていたスザクは道を違えて義妹の騎士となった。
でも、藤堂は、道を共にすると言う。―――いつまでも。

涙が零れそうだった。…嬉しかった。
おそらく、C.C.と契約し、人の理から外れた自分では、その誓いが果たされることはないだろう。でも、それでも。

敬って欲しいわけじゃない。
慰めなんて欲しくはない。
……助けて欲しいとは、愛して欲しいとは、言わない。

『その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?』

一般的な教会の結婚式での誓いの言葉だ。
でも、そうやって何時如何なる時も真心を尽くされることよりも、最期まで共に在ると言ってくれた藤堂の言葉が嬉しい。
そう、ただ、傍にいてくれるのなら。ルルーシュは、それだけでいい。それだけで、十分なのだ。

「終生、此処に変わらぬことを誓います。…藤堂鏡志朗」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」

声が震えないように細心の注意を払って、真名を口にした。
涙が出ていないだろうか、泣きそうな顔をしていないだろうか。

ふと藤堂と眼が合い、少し困ったように苦笑された。泣きそうな顔には、なっていたらしい。
微笑んで見せれば、安心したようだ。目元をかすかに和らげて、微笑み返してくれた。

指輪を、神楽耶が運んできた。本来なら斎主である桐原の役目であるが、おそらく譲らなかったのだろう。

―――指輪のデザインは、ミレイやナナリー達を含めた女性陣総出で考えてくれたらしい。
お互いの瞳の色のイメージだろうか、ルルーシュに嵌められた指輪にはブラックオニキスが、藤堂の指輪にはアメジストがあしらわれていた。
資金はキョウトとアッシュフォードから。「世界に1組しかないペアリングよ!」と誇らしげに言ってくれた、その気持ちが嬉しい。

そして指輪を交換し、神楽耶が今度は玉串を運んでくる。
玉串を額へと近づけ、ルルーシュは祈った。

(時が許す限り…願わくば、出来る限り長く。鏡志朗さんと共に、いられますように)

祈りが終わると2人でそれを神前へと捧げ、1歩下がってニ礼一拍し、元の位置に戻る。
親族の代表として新婦側からはミレイ、新郎側からは仙波が同様に玉串を捧げた。

それから全員の手元に置かれていた盃に、神楽耶がお神酒を注いで回る。
そして、一斉に立ち上がり、飲み干す。

その様子を見届けて、桐原は言った。

「……末永く、幸せにな」
「あら、神の末裔たる私が巫女を務めたんですのよ?2人とも幸せになって当然じゃありませんか!」

本来なら、ここで退場であるが、あくまで此処は騎士団のアジトで、さらにいえば本職なんて1人もいない。
その場にいた者たち――特に女性陣は、一斉に2人の…ルルーシュの元へと集まった。

「あーもールルちゃんてばホント可愛いーーーーっ!ねえ、写真撮りましょ写真!咲世子さーん、ツーショットお願い!」
「あ、ずるいです会長!私も!」
「私もお姉さまと撮りたいです!」
「というか、中佐ととりあえず2人で撮るべきでは…」
「いーんじゃないかしら?だってこれからゼロ…ルルーシュは藤堂のモノなんだしぃ?今くらい取り上げてもバチはあたらないわよぉ」
「まあ籍先に入れてたわけだから、元々藤堂さんのモノだったけどねー」
「ふん、細かいことはどうでもいいではないか。よし、ルルーシュ!私と写れ」
「……お前がこういうことに首を突っ込むとは思わなかったぞC.C.…」
「私はC.C.だからな」
「理由になってないだろう!?」
「気にするな。それより写真だ写真」
「ああもう…」

こうして、なんだかんだでその場は披露宴?…というか、無礼講に突入した。
思う存分祝って食べて飲んで騒ぎ、誰もが楽しそうに笑顔を浮かべていた。
「待ってください私は全然楽しくないですよ!?(←格納庫に縛られて放置されているディートハルト」

そして、騎士団での神前式は無事に終了し、立ち合わせた者にとって忘れられない日となったのだった。

 


 

 

(………それにしても)
(ん?どうしたルルーシュ)
(いや、これで仮面を被る意味無くなったなと思ってな)
(……そういえば、そうだな。『奇跡の藤堂』と結婚したなら、お前の血筋とか気にしなさそうだな日本人)
(いっそそのうち戦場でバラすのも一つの手だな。敵の動揺が誘えそうだ。どう思う?C.C.)
(…まあ、酷く動揺するだろうな、流石に。悪くない手だとは思うが……余計なものまで誘い出さないか?)
(余計なもの?)
(主にお前のシスコンの兄(姉)妹とか白兜のパイロットとかその他諸々…待てなんでそんな不思議そうな顔を。お前気付いてなかったのか!?)

「―――会長。話したいことが、あるんです」

2人以外は誰も居ない、もう空の色がほの暗い、そんな時刻の生徒会室。真剣な声音で、真剣な表情で、告げられた言葉。
ミレイは思わず動きを止め、そして同じように真剣な、しかしどこか不安そうな雰囲気を滲ませて、ルルーシュを見た。

―――最悪の、事態が。どうか、来ないでほしいと願っていたことが、起きてしまったのか。
どうして、どうして!ただ、私達は、私は、この方達に、この大切な皇女様達に、人並みの幸せを感じてもらいたいだけなのに…!

しかしそれでも、原因はいくつも思い当たっていた。

行動が活発になりつつある黒の騎士団。(これには干渉しようがない)
転入してきた『軍人』の枢木スザク。(皇族からの命令だった)
すぐ近くに居を構えてしまった特派。(本国の宰相直属の組織だ、断れなかった)
ユーフェミアによって為されてしまった彼の、いや…彼女の、『大切な友達だと思っていた』幼馴染への騎士任命。(あんなにも愚かな男だったなんて!)
そしてそのパーティーに来てしまった自身の『婚約者』。(アレは完全にこちらの失態だった!)

ああ、なんてことだろう!「守る」と言っておきながら、こんなにも不安要素を放置せざるを得なかったなんて!
これでは、いつこの大切な皇女様がアッシュフォードが作った綻びだらけの箱庭を出て行くと決めてしまったとしてもおかしくないではないか!

泣きそうになりながらも、表情には出さないよう、ぐっと力を込める。
でもきっと、この優しくて聡い主は気付いてしまうのだろう。違うのに。もうこれ以上足枷になんてなりたくないのに!

続く、言葉を待つ。例えそれが別離を宣言したとしても、それでもそれを受け入れなければ。
いいの、今の危険な状況は明らかにアッシュフォードの責任だから。
…こんな時、思う。力が、力さえあれば、守れたかもしれないのに。

そして、ミレイが主と定めた大切な皇女様は告げた。

「実は俺、け、結婚したんです!」


……その時のミレイの表情は、かつて見たことが無いほど間抜けな顔だったとルルーシュは後にこっそり語る。

*  *  *  *  *  *  *  *

「いやあ、それにしても吃驚したわ~。ルルちゃんが結婚、ってとこもだけど、しかも相手が奇跡の藤堂」

ミレイはからっと笑いながら、面白そうに言う。
目の前には、美しい白い衣装で着飾られていくルルーシュの姿。
幼いころから男装せざるを得なかったルルーシュがこうして女の格好をしているのが感慨深く、そしてとても嬉しかった。

あの後一通りの説明はルルーシュから聞いたのだ。
ちなみにルルーシュの結婚発言の直後にミレイが返した言葉は「なんで結婚式に呼んでくれなかったのっ!?」だったりした。
戸惑ったように「まだあげてない」と返したルルーシュを問い詰めて、理由とか相手とかいろいろ聞き出したのだ。
『結婚式は乙女の夢!よってルルちゃ…ゼロとその旦那様の結婚式の決行を要求するわ!!』と黒の騎士団に乗り込んできたミレイに、なぜかノリノリで同調した女性陣。(もちろんゼロことルルーシュは除くが)
1人で来るのは危険だと思わなかったのかとかいろいろ言いたいことはあったが、何故かそのノリに団員達まで飲み込まれ、本日騎士団で結婚式が行われることが決定した。
衣装は先日キョウトから送られてきた白無垢を使うので、正しくは神前式か。
神社で行われるわけでもないし、同席するのは家族というより騎士団幹部のメンバー+αなのだが、まあそこはいいのだ。

そんなワケで、着飾られているルルーシュの前には、ミレイにカレン、ナナリー、咲世子、C.C.、井上、千葉、ラクシャータ、そして神楽耶がいる。
あとは神楽耶が連れてきた使用人…というか、着付け及び化粧係の者が。
神楽耶はゼロの正体がルルーシュでしかも女だったという事実には多少驚いたようだが、「幼馴染のお祝い事ですもの、私も是非!」と喜んで今回の事に参加したのだ。

そして花嫁はいくつになっても女の憧れ。
瞳を輝かせながら誰もが美しいルルーシュの姿を見ていたが、そこでカレンがミレイの言葉を疑問に思う。

「あれ?ルルーシュがゼロってところには驚かなかったんですか?」
「うーん、そこはまだ納得できたかなあ。ルルちゃんのことだからいつか行動起こすとは思ってたし」

伊達にルルちゃんの保護者役として此処にきてるわけじゃないのよ、とカレンに軽くウィンク。

そう、籍の方は保護者の欄はいつのまにかキョウトの六家…というか、桐原公が代わりに記入し、受理されたのだが、ミレイとしてはそこが不満だったらしく、今までルルーシュとナナリーを庇護してきたアッシュフォードの代表として、今回の神前式での保護者役は譲らなかった。
ついでにいうと、何故かC.C.も譲らなかった。
よって新婦側の親族は、父親役としてC.C.、母親役としてミレイ、そして妹のナナリーと世話役の咲世子という摩訶不思議なことになっていたりする。
ちなみに、新郎の藤堂の親族役は四聖剣だ。
……実は、今回斎主を務めてくれる桐原公が至極残念そうにしていたとか、そんな裏話は置いといて。

「そういえば、お姉さまは藤堂さんと上手くいってらっしゃるんですか?」

そう首を傾げてみせるナナリーは、自分だけルルーシュの白無垢姿を見れないことを残念がりながらも、『お姉さま』と堂々呼ぶことができる喜びも隠しきれていない。

そして聞かれた内容にルルーシュは思わず赤くなり、いつも騎士団にいる者達はにやにや笑ってみせた。

「もう、なんていうか、ねえ?」
「見てるほうがご馳走様ーっていうか」
「ルルーシュもまんざらではなさそうだしな」
「最近はよく中佐といるように思えるんだが?」
「見てて微笑ましいっていうかぁ、和む光景よねえ。藤堂はわりと一途そうだし、なんだかんだ言ってゼロも嫌いじゃないみたいだしぃ?」

もうなんというか、効果音がニヤニヤというか、ニヨニヨというか。
明らかに面白がっている様子にルルーシュはますます顔を赤く染めてぷるぷる震えるが、まあ、ぶっちゃけ勝てっこない。

しかし、「へえそうなんだ~」と同じように人が悪い笑みを浮かべるミレイに思わず怒って名前を呼んでしまい、その声を聞いたナナリーがまた不安そうになる。

「その、お姉さまは、藤堂さんがお好きではないのですか…?」
「ほえっ!?い、いや、そうじゃないぞナナリー!別に俺は鏡志朗さんを嫌ってなんか…」
「へえ~?下の名前で呼んでるんだ?いいじゃないの、青春青春♪」
「ああもう黙ってろミレイ!あのな、ナナリー…その、鏡志朗さんは確かに強引なところもあるが、でも俺の意思を尊重してくれるし、やっぱり年上だから懐が深いというか、大人だし、…か、格好いい、し…それに優しくしてくれたし」
「あらあ、やっぱりもう食べられちゃってたんだ~?」
「っ!?///」

ラクシャータの言葉にぼっと顔から火が出そうなくらい真っ赤になるルルーシュ。
そこまでは皆知らなかったのか、少し虚を衝かれたような顔で固まったが、ルルーシュの反応からして、これは確実に。

「あらあら、ルルーシュってば藤堂様に愛されてますのねv」
「流石に私もお前が大人の階段を上っていたとは気付かなかったぞ?ふふ、なかなかやるじゃないか」
「た、食べられてって…うわあ////」
「あれ、カレンにはちょっと刺激強かったのかしら。でも本当いいわね、幸せそうでv」
「…中佐の手がここまで早いとは思わなかったな」
「ルルーシュ様もついに大人になられたのですねえ…」
「ていうことは結婚初夜じゃないのね今日は。いやでも、籍入れた日とはズレてるんだし、そっちが初夜だったのかしら?」
「お・ま・え・ら…っ」

いい加減沸点を越えそうなルルーシュに一同は「ごめんなさーい」と笑いながら返す。でも絶対こいつら悪いと思ってない。
ルルーシュは立ち上がって怒鳴りつけてやりたかったが、化粧を終え、現在髪を整えてくれている女性のにこやかな笑顔が怖くて動けない。
だってこの人プロだ。笑顔だけど「てめえ動いたらどうなるか分かってんだろうな?」という副音声が聞こえ…いや、なんでもない。

それでもナナリーは安心したようで、「よかったです」と今度こそ憂いなくにこにこ笑っている。
さすがはいきなり藤堂が挨拶に来ても動じることなくあっさり祝福した少女。何気に一番強いのかもしれない。

「今回は私が巫女役を務めさせていただきますの。ですから、舞を楽しみにしていてくださいね!ルルーシュが幸せになれるように、気合を入れて舞いますわ!」
「……有り難う、神楽耶」

その言葉にふわりと柔らかい笑みを浮かべたルルーシュは、いつになく綺麗に見えた。
思わずその場にいた者はほう…と息を漏らす。
……ついでに、今のルルーシュの服装及び化粧や髪型を整えた方々は密かにガッツポーズをした。よっしゃあ流石は私(達)の渾身の力作っっ!!

ようやく完成したルルーシュの花嫁姿はなんとも形容しがたい、美しいものだった。
もともと肌が白いので白粉は最低限しか塗る必要がなかったため、純白の衣装と素肌の輝きが、思わず手を伸ばしたい衝動に駆らせる。
塗られた紅も、毒々しい赤ではなく、もう少し柔らかい色合いの紅で、白い肌の中で色づいた唇が存在を主張し、どことなく艶かしくもある。
もともと髪は日本人にさえ珍しいほどさらさらで天使のわっかができるような黒髪だったし、紫の瞳も今身に纏う色のどれともよく映えていて。

「……ちょっと、勿体無いわねぇ」
「ええ、勿体無いわ。これを男どもに見せるのは本当に勿体無い!」
「というより絶対これディートハルトが暴走するんじゃないか」
「あ、でしたらそのときは私が」
「ちょ、咲世子さんっ!?いいです、大丈夫です私が沈めますから!」
「私も手伝おう、紅月。カメラマンとしての腕は惜しいが、式を滅茶苦茶にされるのは御免だ。…格納庫にでも転がしておくか」
「…でしたら、私が代わりに記録に残しますね。一応それなりの腕を持っていると自負しております」
「そうね、頼めるかしら咲世子さん。皆さんもそれでいいですか?」
「ミレイがそう言うなら、俺は構わないが」
「あ、代役がいるなら安心ね。私も異議なーし」

次々に異議なしとの声があがる。哀れディートハルト、これで式に参加できる可能性は無くなった。自業自得だが。

「そろそろ藤堂様の方の仕度もお済みになっているのではないでしょうか?」
「そうよね~。大体こういうのは女の方が時間がかかるものだしぃ?」
「じゃあ行きますか!ルルちゃんの愛しの旦那様の元へ♪」
「……だからミレイっ///」
「うふふ、行きましょうお姉さま!」

そして部屋の扉が開かれる。
部屋の外には羽織袴を着た藤堂と、四聖剣の3人が待っていた。

時間稼ぎに小ネタ投下。
返信とリクはもう少し…し、しばらく?待ってください。

「るーくん」シリーズ番外です。
別名スザクいじめと言えなくもない。

いやだって、コンビニでたまたま見かけたもので。
ブルーベリーとどっちが怖いですかねー(にやにや)

※修正しました。夜行性人さん、感謝です。
忍者ブログ [PR]


Designed by A.com
カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
リンク
フリーエリア
コードギアスの二次創作を扱っているサイトさんのみリンクフリーです。 ちなみにオンラインブックマークはお断り。捜索系サイトなどへの情報提供もお控えください。 基本更新は不定期。 課題に追われ最近眠くて仕方が無いです。だれか睡眠プリーズ。
最新コメント
[06/18 カツキ]
[06/12 瑠衣]
[06/03 蒼月]
[11/01 菜梨]
[02/19 Lilth]
最新記事
***
(05/30)
(06/28)
(05/19)
(01/04)
(09/23)
プロフィール
HN:
彩霞
性別:
女性
職業:
学生
趣味:
読書やゲーム。
自己紹介:
基本主人公総受け思考。最近マイナーな方向に突っ走っている気がする。ものすごく、する。
ゲームと読書が大好きです。

なにかあったら「little-prayer.02☆docomo.ne.jp」にメールをどうぞ。☆を@に変えてくださいね!
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析