× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 アッシュフォード学園でユーフェミア殿下によって為された『学園祭宣言』。 しかし、当たり前だ。皇族の行動をどうして責めることができようか。それは立派な皇族批判という罪だ。 生徒会室でも、それは変わりなかった。いや、むしろ肯定の意が強かった。 「……にしても、ルルーシュ達、どーしたんだろうな」 ぽつりとリヴァルが口にした言葉に、誰もが思わず口を噤んだ。 もしかしたら、もう、二度と――― 胸を過ぎった不安を誤魔化すかのように、話題を振ってしまったリヴァルはわざと明るく笑い飛ばしてみせた。 「まあ、ルルーシュのことだし、何か企んでるんだろうな!ナナリーちゃんだって一緒なんだし、そう危ないことなんてしてないだろうし!へーきへーき、だってあのルルーシュだぜえ?もしかしてそこらの貴族やりこめて悪人面で笑ってるんじゃねえの?」 思わず同意してしまったのはカレンだ。よく人の悪い笑みでからかわれている身としては、その様子がありありと想像できる。 ―――ただ、その場に2人がいないだけの、いつも通りの風景が。 スザクも、リヴァルの言に同意して笑ってみせた。 「そうだよ、きっと大丈夫、ルルーシュもナナリーもすぐに帰ってくるよ」 だってユフィがあんなに素晴らしい政策を出してくれたんだもの。きっと2人とも喜んでくれ――― 「―――無責任なこと、言わないで」 続けようとした自らの主への賛辞は、今まで聞いたことない、ミレイの低い声で遮られた。 そこまで考えてスザクは呆然とした。もちろんスザクだって軍人である以上、誰にだって好意的な感情を向けてもらえるとは思っていない。 他の生徒会メンバーも呆然としていた。いつも明るくて、元気で、辛いことなんてないような顔で笑ってみせていた会長。さっきまで『いつも通り』に笑っていたのに、今の彼女はまるで別人であるかのようだ。 「それをどうして貴方が口にするの。口にできるの。どうして……だって、全部貴方のせいじゃない!枢木スザク!!」 途中から感情が抑えられなくなったのか、激情のままに叩きつけるようにミレイは叫んだ。 「貴方がいなければ、こうやって学園が注目を浴びることなんてなかった!貴方がいなければ、2人がここから姿を消す必要なんてなかった!なのになんで箱庭を壊した貴方がのうのうと此処に居座っているの!?」 誰もが息を呑んだ。 「か、会長……それって、どういう」 恐る恐る問いかけてきたシャーリーの言葉は無視して、ミレイは続けた。 「知ってたくせに!ルルちゃん達が“誰”で、“何”から“隠れていた”のか、知ってたくせに! 『隠れていた』?『アッシュフォードが匿っていた』? ここまで言って自分が何をしたのかさえ理解していないなんて―――こんな、愚か者に奪われたなんて! ミレイは苛立ちを隠すことなく舌打ちして、思い切りスザクを睨みつけた。 「そうよ、そうだわ…『軍人』なんて、受け入れるんじゃなかった…! その言葉に、スザクだけでなくカレンも肩を震わせた。 (ああそうか、カレンはハーフだったわね) 頭を掠めた事実は、しかし今のミレイへの抑止力とはならない。 目に暗いモノを宿したまま、ミレイは婉然と微笑んでみせた。あらん限りの侮蔑と嘲りを籠めて。 「もしかして、『日本人』がルルちゃん達に何をしたのか、アッシュフォードが知らないとでも思ってるの?」 スザクの喉から、引き攣ったような音が漏れた。 「ちょ、ちょっと待ってください会長!ルルーシュが何かされたって…でも、ルルーシュはイレブンのこと」 信じられない、とスザク以外のメンバーは言う。特にカレンはその色が顕著だった。 でも、それが事実だもの。だからミレイは笑みをそのままにスザクに事実を突きつけるのだ。 「今の『イレブン』が受けている待遇そっくりそのまま、もしくはそれ以上のこと、したのよね? なにそれ、と誰かが呟いた。 与えられた情報に頭が混乱する。スザクは友達だと笑ってみせたルルーシュ。たまにイレブンを助けさえするルルーシュ。 信じられないと物語るその表情を見てミレイも思う。 「ルルちゃんは優しいから『当時の情勢を考えれば仕方の無いことだ』って許容したんでしょうけど、私は許すつもりはないわ。 ミレイの激昂に、スザクは一歩身を引いた。彼がぼそぼそと口にしているのは、意味の無い音の羅列だ。そんなものに耳を貸すつもりはない。 「……ころされ、た?」 混乱する周囲の反応は気づかないフリをして、裏切りの騎士に、ミレイは刃を向ける。 「大体ねえ、『間違った過程で手に入れた結果には価値は無い』?別に貴方の思想にあれこれ口出しするつもりは無いわ、個人の思想はそれぞれだもの。だけどね、どうして此処でそれを言うの!?遠まわしにルルちゃん達は間違ってるって、生きているのに価値は無いって言いたいの!?」 とうとう、涙が零れた。分かってる、本当はここまで口にしていいことじゃなかった。でも我慢なんてできなかった。 ミレイがなりたくてもなれなかった主達の『騎士』にと望まれた男は真っ白なままの『お飾り』に膝をついて。 「なんでよ、なんで此処なの?なんでよりにもよって此処であんな宣言したの?いいえ、どうしてその前に学校辞めてくれなかったのよ!皇族の騎士になったりしたら、周囲の人物だって調べられるのくらい予想できるでしょう!?そのせいで2人が危険になるとは思わなかったの!?」 ようやくそのことに思い当たったのか、スザクの顔色がみるみるうちに悪くなっていく。 この、男のせいで―――! 「返して、返してよ!2人を返して、私の宝物を返して…!大切なの、ずっと護ってきたの!あの方たちのためにつくった学園だったの、箱庭だったの!楽しいって言ってくれたのに、信じてくれるって言ってくれたのに、なのに、貴方のせいで!貴方達のせいで!」 スザクへと掴みかかったミレイは、我に返ったカレンとシャーリーに抑えられ、スザクはリヴァルに生徒会室からの退出を促される。 「ゆるさないから」 ミレイはスザクを明確な殺意を籠めた目で見ていた。視線だけで人が殺せるというならば、確実に殺せるような、そんな目で。 (ユフィ…ユフィに会いたい、ユフィなら、分かってくれる……僕は、間違ってない!) 鞄も置き去りに、スザクは無我夢中で政庁へと走った。彼の穢れも何も知らない、いつも自らを肯定してくれる主の元へと。 「絶対に、赦さないから………スザクも、ユーフェミア様も、絶対に、絶対に赦さないから…!」 残っていた誰もが、何も言えなかった。ユーフェミアを異常に慕っているニーナでさえ、何も。 その日は、結局沈黙が破られることはなかった。
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無題
なんだか、スザクとユフィに酷いというよりは、ミレイに一番酷い気が
これだとただ視野が狭くて凄い偏見と拒絶感をもった人という、普段の会長とは掛け離れた人に見えてしまうのですが。 今ブリタニアの植民地支配の恩恵を受けている人間が、ブリタニアに住む場所も家族も奪われた日本人を責める資格はないと思うのですが。ミレイは家の為に結婚しなきゃならないけど、明日殺されるかもしれないという恐怖を日々味わっているゲットーの人達よりはよっぽどマシな暮らししてると思うので。
ミレイさん♪
お久しぶりです。この話のミレイさん私はすごく好きですよ。盲目的というか、一番大事な人を奪われてしまって、完全に感情に走ってる感がなんとも言えなくていいです♪たぶん冷静だったらルルと同じように仕方のないことだったとか、生徒会のみんなの前で~とか色々考えられることが全部吹っ飛んじゃった見たいですね。でも、コレまでずっと彼らのことを守ってきた立場としては(特に恋愛感情も持っていそうですし)スザクの態度にプッツン来ちゃっても仕方ないですよね♪
と、何やら纏まりないですが…これからもお体に気をつけて頑張ってくださいね。
無題
ドラマCDのエピソードから推察するに、ミレイさんはルルーシュ達のことを大切に思ってましたから、スザクがルルーシュにしたことを考えるとこのようなエピソードが本編であってもおかしくなかったのかなと思って読ませて頂きました!
スザクはルルーシュがやった事ばかり責めて、自らを省みることは一切しませんからこのような小説みたいなシーンが本編でもあれば少しは、成長するのになと思うと残念でした・・・。 色々、考えさせられるお話でした!!
無題
ミレイさんの気持ちはよくわかりますが、この場合は咲世子さんについてはどう思っているんでしょうか。
というか、彼女は今現在どこにいるんでしょう? きっとルルたちに合流してくれていると信じたいんですが。 |
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