× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 朝比奈は、誰が見てもわかるくらいに不機嫌だった。 (……選択を、誤っただろうか) 密かに藤堂は思ったりした。口にはしなかったが。 (あそこまで朝比奈とスザク君の馬が合わないとは……) 仙波だったら、年長者の余裕でスザクと喧嘩するようなことはなかっただろう。 しかし、藤堂が呼んだのは朝比奈だった。純粋に実力で選んだのが拙かった。 2人の仲は良好とは言いがたいというか、険悪というか、―――正直に言えば、最悪だった。 いつまでこれが続くのだろうか、と思わず遠い目をしていた藤堂は視界を過ぎった光景に、目を見開いた。 「あれは…っ」 朝比奈が不思議そうにしているが、藤堂は今見えたものの方へ向かうことを優先した。 「何をしているッ!?」 散っていく子供達。中には中学生…下手したら、高校生くらいの者まで含まれている。 「大丈夫か、ルルーシュ皇子!?」 日本に留学生として送られてきたルルーシュ・ヴィ・ブリタニア以外の、何者でもなかった。 「……有り難う御座います、藤堂中佐。そちらの方は…確か、朝比奈さん、でしたか」 蹲ったままでは失礼だと思ったのか、ボロボロの体で立ち上がろうとするルルーシュ。 「構わない。それよりも手当てを…」 ルルーシュは至って冷静に返す。その瞳には不審と警戒の色がある。 「……そうか、失礼した。それでは、我々はこれで」 ルルーシュに背を向けようとしたその時、藤堂を追ってきて、黙って話を聞いていた朝比奈が唐突に口を開いた。 「君ってさあ、あーいうことされてもあのクソガキが絶対助けてくれるって信じてるの?」 朝比奈は前述したとおり不機嫌だった。機嫌が直るような出来事なんて何一つ起こっていないのだから当たり前だ。 「へえ、何?もしかして自分って可哀相、とかって自己陶酔にでも浸ってるわけ?」 拗ねたように唇を尖らせる朝比奈はあからさまに不満そうだ。 藤堂に「戻るぞ」と声をかけられた朝比奈は「はーい」とやる気なさげに返事を返し、もう1度ルルーシュを振り返る。 「まあ、せいぜい部屋に引き篭もってでもいれば?少なくとも、今みたいに目障りにウロウロしなければ、痛い目に遭うことは無い―――」 きっぱりと返されて、虚を衝かれた朝比奈はしばらくぽかんとしていたが、我に返り、訝しげな表情になる。 「…何、そういう嗜好でもあるの?そうじゃないなら、わざわざうろついてボコられたりする必要なんてないよね」 わざわざ、町をうろつく理由なんて何処に。 「僕たちが、留学生と称してこの地にいることは、誰もが知っています。ブリタニアに対して日本人がどういう印象を持っているか、理解しているつもりです。 ―――そんなこと、考えもしなかった。 嫌味のつもりで言った言葉に正論で返され、またその理由に納得はしたが、それでもまだ朝比奈は態度を改めようとはしなかった。 「でも、それは無抵抗な理由にはならないんじゃないの?」 「仕方がないことだ」とも言いそうなその様子にかちんとくる。 「ブリキのくせに生意気だ、と僕らの住んでいる場所にまで押しかけてこないと言い切れますか。あそこにはナナリーがいるんだ。これ以上あの子が傷つく必要なんてどこにも無い! 毅然として言い放たれた言葉に、愕然とした。 耐えるのは、ただ妹の為に。 この自分より一回り小さい皇子が思う『最悪』は自分に何かされることではない。 「………悪かったよ」 朝比奈は、自分の非を認めることにした。 自分の身をどうでもいいと思っているような点が見受けられる節は、少々納得いかないけれど。 PR この記事にコメントする
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